目をそらす話。【カゲプロ】

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「目をそらす」

時を巻き戻し、行動をやり直す。

行動結果によっては未来を変えることが出来る。

しかし、結果は変わらない。

死人には、再び生きることなど許されないのだ。

世界でいちばん便利で不便な能力。

【注意】

「ホムペ」とは書いてありますが、実際は単発ネタです。

ふと考え付いたものをサザッと書いているだけなので、続かない。
面白そうなものだったら、自分の作品として連載するのもご自由にどうぞ。

また、この作品は自然の敵P(じん)さんの作品【カゲロウプロジェクト】【カゲロウデイズ】の二次創作です。

「ねぇ団長さん。聞いたんですけど、幻の4人目がいるって本当ですか？」

部屋でくつろいでいた俺にキサラギが声をかけてきた。

「ああ、そうだな。確かにいたよ、4人目が。」

そう返すと、「どんな人だったんですか！？」と机に身を乗り出して聞いてきた。

「そうだな……優しいやつだった。常に笑っていたよ。それはさ、カノみたいにニセモノの笑顔じゃなくて……本当にニコニコしていたんだ。」

昔は思い出したくないことだったが、今なら笑い話として言える。
まあ、本人は笑い話扱いされるのは嫌かもしれないけど。

あいつ。
あいつは……どんな名前だっけ。

あいつの能力は勝手に「目をそらす」と呼んでいる。

いちばん目をそらしたいのは自分たちだったのかもしれない。

俺は。
俺は今でも謝りたいと思っているよ。

目を閉じて、過去のことを思い出した。

†　†　†　†

あいつは、自分たちと同じ孤児院出身だった。
でも最初は、あいつが自分たちと同じ「赤い目」持ちだなんて知らなかった。
本人は知っていたみたいだけど、必死に隠していたみたいだった。

ある日、何らかの理由(結局最後まで教えてくれなかった)で能力が暴走したとき、先生に見られてしまったらしい。

そして「化け物」扱いされて自分たちと同じ部屋に来た。

もちろん、お姉ちゃん家にも一緒に行った。

あいつにはどうやら本当の姉がいたらしく、同じ呼び方の「お姉ちゃん」とは言えなかったようだった。
「姉さん」呼びで落ちついたみたいだった。

あいつは能力を全く使わなかったみたいだった。
今ならわかるが、あいつの能力は使い勝手がいいようで悪すぎた。

しかしその能力も、お姉ちゃんが死んだ時に使っていたようだった。

あいつの能力は「目をそらす」。
運命を変えることができる。

正しくいえば、時間を巻き戻して、やり直すことで未来が変わるのだ。

でも、俺たちは知らなかった。

「運命を変える」。
それしか知らなかったから、お姉ちゃんの死ぬ運命はどうして変えられなかったのだと叫んだ。

実際、「死ぬ」ということは変えられないようだった。
例えば怪我。
「怪我をする」ということは変えられないが、切り傷を擦り傷にするとかそういったことのみ変えられる。

あいつだって、頑張ったみたいだった。

変えられないとわかっていても、何度も何度もやり直していたようだった。

あいつは、もう狂っていたようだった。

「姉さんが死ぬ運命は変えられない。
でもね、感謝してほしいぐらいだよ！
一回目、姉さんがどんなに酷い死に方だったか知ってる！？
誰かに命を刈られるのではなく、自らの手で最期を迎えるのだから……

しかも……ぼく以外の誰かが死に際に会えるように手配してあげたんだ！

ぼくはもう……何度も何度も別れを経験して…涙さえ出ないよ……！」

しかしそんなに苦しんでたあいつに俺らは酷い言い方をしたんだ。

「この人殺し！」

あいつは少しだけ悲しそうな顔をして、その日のうちに家からいなくなっていた。

†　†　†　†

「……こんな感じか。」

ところどころ誤魔化したり脚色を加えて話を終えた。

キサラギの持っているハンカチは少し湿っていたが、そんなに感動的な話だったか？と疑問に思う。

俺は。

本当に申し訳ないと思っている。

もしも。

もしも許されるのなら。

「久しぶり」
も
「元気だった？」
いろいろ言いたいけれど。

もしも。
こんな俺に発言権があるのなら。

一言だけ言わせて欲しい。

「ごめんなさい。」

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