＊ ページ20
「花園さん、小説って言うのはね、文脈から読み取るんだよ」
花園ちゃんの字を消しながら、花宮は爽やかに微笑んだ。
「俺、此の期に及んでまだ演じようと思う花宮尊敬する」
はあ、これだからバカは、というようにため息をついて花宮はホワイトボードに文字を書いていく。
花宮基本的になんでもできるし、どこかの理系バカ女とは違うってこの前自分で言ってた。
『直接手を下す手間が省けた、ありがとう』
「どの口が文脈とか言ってんの、夏目漱石の前にまず人の心学んできて」
花宮は爽やかな笑みを浮かべていた。前々からこの小説のKの良い子ぶりに腹立ってたのは後ろの席から丸見えだったし、その苛立ちを花園ちゃんに密かな嫌がらせで発散していたのも俺は知っている。
例えばシャー芯を全部半分に折るとか、借りた消しゴムの角を使うとか。やること小学生か。
花園ちゃんは後はお前しかいない、という目でグイグイとホワイトボードを押し付けてくる。サボるつもりだったんだけど、めんどくさいなあ。
頭にパッと思いついた言葉をホワイトボードに書き留める。
『天才だろうがKだろうが壊れりゃただのガラクタなんだよ』
「なるほど、Kって一哉のKだったんだ」
「ねえ冗談だってばはなみゃー、顔がガチ、ねえ花園ちゃん、『一哉は壊れなくてもガラクタ』ってホワイトボードに書くのヤメテ？！俺まだ死んでない！」
花宮が恐ろしいほどに引きつった顔で微笑んでいる。いや、俺からしたらお前らも相当ひどいんだけど。
まあ確かにこの二人の得意科目は化学だし、俺はどちらかと言えば文系だけどやる気ないし。
花園ちゃんがコイツらやばい、と言う目で俺たちを見てため息をつく。
「もういい、私瀬戸くんに聞いてくるね」
「瀬戸？瀬戸なら今どうせ寝てるんじゃな＿＿」
しまった、と思った時にはもう遅い。花園ちゃんは隣の班に移動し、おはよう、と爽やかな笑みで瀬戸のホクロを連打していた。俺は静かに、瀬戸に黙祷を捧げる。
「てかさ花宮、俺思ったんだけど、この『私』って超性格悪くない？俺だったら無理、好きな子のために親友に嘘とかつけなーい」
「お前が言うか、それ」
花宮は呆れた様子でため息をついた。
「それでも手に入れた『お嬢様さん』を幸せにしてやりゃいいだろ、まあ、この『私』の場合それすらできねえけど」
馬鹿だよなあ、中途半端にやるからこうなるんだよ、と花宮は馬鹿にしたように笑う。
いやぁ、花宮熱いね、いいね恋って。
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漫画・声優・アニメ・ゲーム大好きリカント(夜李)(プロフ) - 面白いです！更新待ってます！ (2020年10月20日 18時) (
レス) id: 7e6458e2b5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずりは(プロフ) - 征羅さん» ありがとうございます。面白いと思っていただけるように意識してるので、そう言っていただけるのはとても嬉しいです。返信遅くなってしまってごめんなさい、これからもよろしくお願いします。 (2020年1月26日 19時) (レス) id: 718a0c6063 (このIDを非表示/違反報告)
征羅(プロフ) - すごく面白いです。毎回爆笑してます。あからさまに笑いを狙ってないような感じが好きです。今まで俺が見た小説とは違う面白さで、すっかりハマってしまいました！更新頑張ってください。 (2019年10月1日 0時) (レス) id: 44f8e3471a (このIDを非表示/違反報告)
ゆずりは(プロフ) - みかんさん» ありがとうございます。受験生なので更新が遅くなってしまいますが、頑張りたいと思います。 (2019年9月23日 20時) (レス) id: 718a0c6063 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - 面白いですら楽しく読ませてもらってます。更新頑張ってください！ (2019年8月20日 16時) (レス) id: 74e459d58c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆずりは | 作成日時：2019年5月4日 15時
