第74話 ページ27
A「じゃあもう……私がここにいる意味が無いじゃないですか！」
涙を流しながら急に大声を出した私に、左之助さんは目を見開いた。
八つ当たりだって分かってる、左之助さんの言ってることは正しい。
でも、簡単に受け入れるなんて出来なかった。
A「もう……出て行かなきゃ、いけないじゃないですか。」
約一ヶ月、必死に頑張ったのに。
左之助さんに新選組を抜けてまで私を選んでなんて欲しくなくて、なんとかしたいと思ってたのに。
原田「悪い。けど、こんな状態のお前を巡察に連れて行くのは心配なんだよ。」
涙が止まらず下を向く私を、左之助さんは背中をさすってなだめるように抱きしめてくれた。
A「………きっともう腕力は戻りません。いくらやったって、戦いに出ることは難しいと思います。」
原田「そうか。」
A「このまま戻る見込みが無いなら、私は土方さんにここを出て行く許可をもらいに行きます。」
涙を拭って、左之助さんの目を見据える。
隊士としてここに入れてもらったのだから、戦えなければここには居られない。
原田「分かった。なら、俺も一緒に着いて行くさ。」
ニっと笑って私の頭を撫でる。
本当に抜けてしまうだろうか。
一緒に来てくれるのは、とても嬉しい。
だけど、新選組にいて欲しいという気持ちも私の中にはあって。
申し訳なさで、つい暗い顔をしてしまう。
原田「お前が気にすことじゃねぇよ。俺の夢が叶うんだからな。」
夢？
その言葉に首を傾げると、左之助さんは照れたように笑う。
原田「俺の夢は、惚れた女と所帯をもって、静かに暮らすことなんだ。」
正直言って、意外だった。
生きている人なら大抵叶えられそうな、そんなささやかな夢だったから。
原田「だけどよ、新選組のみんなと無茶やるのも楽しかったんだ。だから、それならそれでいいと思ってた。」
でも、そう言って左之助さんは私のことをもう一度抱きしめた。
原田「A、俺はお前と一緒に暮らしてぇんだよ。」
折角拭った涙がまたゆっくりと零れ落ちる。
A「私、料理とか全然できないんですよ？」
原田「洗濯してくれるじゃねぇか。それにこれから出来るようになればいい。」
A「………本当に後悔しないんですか？」
原田「するわけねぇだろ。」
私はいつでも揺らいでばかりだ。
すぐに自信が無くなって心配になって、離れようとする。だけど、左之助さんはその度に私を繋ぎとめてくれた。
私も覚悟を決めなきゃ。
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彗.(プロフ) - 麗輝★ばりっちさん» そこまで言ってくれるなんて本当に嬉しいです！泣いて喜んじゃいます！そう言ってくださる方がいらっしゃるなら頑張って書きますね！！！ (2018年2月12日 17時) (
レス) id: b992a17143 (このIDを非表示/違反報告)
麗輝★ばりっち(プロフ) - 作品全部読みました！めちゃくちゃ良かったです！たまに発狂しました（笑）そのくらい面白かったです！次作も楽しみにしてます！頑張ってください！ (2018年2月12日 17時) (レス) id: c8e72bbc9a (このIDを非表示/違反報告)
彗.(プロフ) - Serenityさん» 楽しみにしてくださってると凄く励みになります！ありがとうございます！！ (2017年11月26日 23時) (レス) id: b992a17143 (このIDを非表示/違反報告)
Serenity(プロフ) - 久々に更新されたと通知が来て、見ました！いつまでも待ちますので、完結楽しみにしています。 (2017年11月26日 11時) (レス) id: 3ab5adeb9e (このIDを非表示/違反報告)
彗.(プロフ) - はるはるさん» ありがとうこざいます！嬉しすぎます！ (2017年11月25日 22時) (レス) id: b992a17143 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彗. | 作成日時：2017年4月29日 0時
