第73話 ページ26
それから約一ヶ月。
A「左之助さん、今日の巡察には同行します。」
朝餉を終え、私は午後からの巡察への同行を左之助さんに願いでていた。
原田「もう大丈夫なのか？」
一ヶ月間、身の回りのこととか雑事はしてたけど、隊士としての仕事は全く出来ていなかった。
そろそろ、私は焦り始めていた。
A「もうほとんど大丈夫です。」
左之助さんはじっと目を見た後、私の手首を掴んだ。
原田「分かった。じゃあ、ちょっと来い。」
手を引かれるまま、私は左之助さんの後をついていった。
稽古場で手を離されたかと思うと、稽古用の槍を手渡される。
原田「俺のことを納得させられるだけの実力が戻ってるなら、同行させてやる。」
少し距離を置いて左之助さんは槍を構える。
原田「ただし、俺が連れて行ける力量じゃねぇと判断すれば、お前を巡察に同行させる訳には行かねぇ。」
約一ヶ月前に槍を持った時から、私の実力はほとんど変わっていない。
毎日毎日練習したけど、元には戻らなかった。
なんだか、それを見透かされたような気がした。
でも、だからといって簡単に諦めて引き下がる訳には行かない。
A「分かりました。」
このまま、隊士としての役目が果たせないのに、此処に居るわけにはいかない。
左之助さんに倣うように槍を構え、私から攻撃を仕掛ける。
押し合いになったら弾かれて負ける。
そうはならないようにしないと。
お腹に向けて槍を突き出す。
A「やぁ！」
手の力だけでなく脚力も少なからず落ちているため踏み込みが浅くなり、簡単に避けられる。
弾かれる前に槍を引かなきゃと思ったのに、左之助さんがその隙を見逃すわけは無かった。
私の槍は簡単に下から弾かれる。
A「あっ………。」
手に力を入れて踏ん張ろうと思ったけど、私の手は言うことを聞いてくれず、槍は床に転がった。
私も体勢を崩し床に尻餅をつく形で倒れ、喉元に穂先を突きつけられる。
原田「A、お前を巡察には連れて行けねぇ。」
私は負けじと掌を突き出す。
A「槍が使えなくても、私にはこの力があります。」
私は掌に冷気を纏わせる。
原田「それを、他の隊士の前で使う覚悟はできてるのか。」
はい、とは言えなかった。
原田さんは槍を引き、私の視線に合わせてしゃがんだ。
原田「だったら、連れて行けねぇ。」
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彗.(プロフ) - 麗輝★ばりっちさん» そこまで言ってくれるなんて本当に嬉しいです！泣いて喜んじゃいます！そう言ってくださる方がいらっしゃるなら頑張って書きますね！！！ (2018年2月12日 17時) (
レス) id: b992a17143 (このIDを非表示/違反報告)
麗輝★ばりっち(プロフ) - 作品全部読みました！めちゃくちゃ良かったです！たまに発狂しました（笑）そのくらい面白かったです！次作も楽しみにしてます！頑張ってください！ (2018年2月12日 17時) (レス) id: c8e72bbc9a (このIDを非表示/違反報告)
彗.(プロフ) - Serenityさん» 楽しみにしてくださってると凄く励みになります！ありがとうございます！！ (2017年11月26日 23時) (レス) id: b992a17143 (このIDを非表示/違反報告)
Serenity(プロフ) - 久々に更新されたと通知が来て、見ました！いつまでも待ちますので、完結楽しみにしています。 (2017年11月26日 11時) (レス) id: 3ab5adeb9e (このIDを非表示/違反報告)
彗.(プロフ) - はるはるさん» ありがとうこざいます！嬉しすぎます！ (2017年11月25日 22時) (レス) id: b992a17143 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彗. | 作成日時：2017年4月29日 0時
