愛に口付け【黒子のバスケ】 (ページ3)

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二話ページ3

近くの本屋は、家からだいたい10分程度だ。

『(出来るだけ、早く帰らなきゃ)』

早足で歩く。

『……え？キャァァアアア！！！！！』

ふいに足元に蝉の死骸が見え、私は叫び声を上げた。

『やだ……っ！誰か！』

？「どうしたのだよ。」

誰かに怪訝そうに尋ねられ、私は顔さえ見ずにしがみ付いた。

『せっ…蝉が……！』

？「蝉？……あぁ。こっち来い。」

腕を引かれる。

そういえば……、この人誰？

怖い………。

？「もう大丈夫か？」

水を差し出され、思わず顔を上げる。

『あ！えっと、ありがとうございます……。』

慌てて頭を下げ、礼を言った。

？「気にしなくて良いのだよ。」

『あの、お名前をお伺いしても宜しいですか？』

？「緑間真太郎だ。」

『緑間さんですか……。』

ありがとうございます、ともう一度礼を言い、別れる。

緑間さん、か。

突然目の前で叫び声を上げられて、驚いただろうな。

それに……、

あの時は蝉で頭がいっぱいだったけど、ちゃんと人と話せた。

フードの下で、私はにこにこしながら、漫画を買って家に帰った。