【黒バス】私は、大丈夫。だから……ばいばい。【赤司征十郎】

／帰りましょう。１０７ ページ28

あ「え、何が……」




立ち上がったAは、今度はゆっくりと進んでいく。俺は走ってAの手を掴んだ




赤「Aっ」




あ「あ、かし……さ……なんか、壁が…」




赤「壁……？」




手を少女のいる方へ伸ばすと、ペタリと何かにあたった。まるで、透明なガラスがあるみたいに、そちらに進むことは出来なかった




皆も近づいてきて、そこを触れるが通り抜けられる者はいなかった。分かったのは、少女をぐるりとその見えない壁で囲んでいること




あ「り、ん！今出しますから！」




ドンドンと叩くAに対して、少女は首を横に振った




り「私は出られないよ。それがないと、私はここに映らないからね」




あ「映る……？」




り「うん。だって、私の状態知っているでしょう？」




あ「っ……」




赤「どういうことだ……？」




目を伏せたAは、小さな声で呟いた




あ「りんは……植物状態なんです」




赤「…っ！？」




Aはポツリ、ポツリと話し始めると周りは静かになった




あ「試合帰りに事故にあったんです。乗っていたバスが横転するぐらいの事故で、私達……チームメイトは軽傷ですみましたが、運悪くりんだけが外に放り出されてしまったんです……それで、りんは重症。今は植物状態で…」




り「…………そう、ね」




少女は思い出しているのか、顔をくもらせた




あ「で、でも！なんでりんがここにいるんですか？！今までなら……っ…化け物、が……」




り「それはね……最後の６時間目……私が関係しているの。終わらせられるのは、Aだけだよ」




Aが驚きで目を見開いた




り「ほら、そこを見て……」




ボウッと見えない壁があるところから字が浮かんだ




あ「……そんなっ！」









Aside




映し出された文字に、手が震えた




り「最後の時間……Aが選ぶんだよ」




こんなの酷い、なんで最後にこんな選択っ…




[１、りんの植物状態を治して帰る]

[２、りん以外の皆と帰る]




“皆と“の意味




１を選べば、りんを治せる。植物状態から起きるなんて可能性は０に近い。けれど、皆は……




２を選べば、皆を元の世界に返せる。けれど、りんは植物状態のまま……




りんとは小さい頃からずっと一緒だった。りんと無謀にも作ったバスケ部。おかげでいい気色が見れた。大好きな友達を、私はっ……




あ「……少しだけ…りんと………話してもいいですか？」

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