第２１９話 ページ19
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カミュの言動に疑問を残したまま夜が明けた。今日は決勝トーナメントの第1試合目ということで気合充分、だったのだが。
「えっ、1回戦不戦勝？」
誰かの呟いた言葉にAは少し残念そうにため息をつく。意気込んでバスに乗り込んで告げられたのは1回戦は不戦勝という情報だった。
入江から聞いた話によれば、初戦の相手だったアラメノマの選手が全員帰国してしまったらしい。その理由は分からないけれど、試合がまっていると思っていたAにとってはやはり少し興ざめだった。
「おおー！いきなり決勝トーナメント初戦突破っスか？」
「幸先ええなぁ。」
切原や白石の言うとおり、戦わずしてひとつ駒を進められたというのは幸運であるし喜ばしい。それでもどうしても煮え切らなくて、Aはふてくされるように窓の外に目を向けた。といっても初戦があったとして自分が出られるかは分からなかったわけだが。
「よし！本日我々は他国の試合観戦だ！！中学生は特に世界にその目を焼き付けて来い！！」
いつまでふてていても変わらない。自分に出来ることは他国から学ぶことだと切り替え、トーナメント表を見つめて今日の対戦カードを確認する。そしてそこにあったフランスの文字に昨晩を思い出した。
不思議な言動で自分に接触してきたカミュという男。今日、その彼のテニスが見られるかもしれない。そう思うと妙に期待感と興奮が押し寄せてきた。
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「A、俺達はスイスの試合を見に行くつもりだが……お前はどうする？」
バスを降りてから声をかけてきたのは徳川だった。その隣には鬼がいて、入江は種ヶ島と別の国を見に行くらしい。徳川と鬼に笑いかけてから「私はフランスを。」と告げると、少しだけ徳川は眉をひそめた。
「……ならば俺も、」
「A、フランス行くんやろ？ほんなら俺らと一緒やね！」
徳川の言葉を遮って、Aにぬっと大きな影が落とされる。190cm台と2m台の大男ふたり組み、毛利と越知の姿がそこにはあった。「はよ来んせーね。」と笑って歩き始めた毛利と越知に「あ、待ってくださいよ！」とAは声をかけた。
「それじゃあ徳川さん、また後で！」
「……ああ。」
ひそめていた眉を今度は下げる。少し口角を緩めた徳川は遠ざかっていくAの姿を穏やかな目つきで見つめた。
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紗菜 - アニメがまた、スタートするのでこちらも更新されるのをお待ちしています。 (2月15日 19時) (
レス) id: c2a2213ca9 (このIDを非表示/違反報告)
ちあき - 続きが楽しみです (2021年9月22日 0時) (レス) id: 09253d858e (このIDを非表示/違反報告)
甲賀忍者(プロフ) - 素晴らしい作品！夢主ちゃん格好可愛いすぎます！ (2021年1月3日 15時) (レス) id: 0e780aa7b5 (このIDを非表示/違反報告)
巫和泉(プロフ) - コメント失礼します！読んでいて，とても面白かったです！更新楽しみにしてます！ (2020年1月4日 18時) (レス) id: c314aa38cf (このIDを非表示/違反報告)
白雪(プロフ) - 更新待ってます!続きが楽しみです。 (2019年11月7日 8時) (レス) id: 567a821487 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：赤兎リエ輔
| 作者ホームページ：http://nekomoti
作成日時：2019年3月18日 0時
