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十三振目「青き月」鶴丸side ページ15

…やっぱりな。

「…今剣が来たんだ、来るとは思っていたが…」

俺の眼前には口元を袖で隠しほけほけと笑う男、三日月が居た。

三「ふむ…鶴は其方側についたのだなぁ…何故だ?」

三日月を宿す目を細めて俺を見据えてくる。

何故かなんて、決まってるだろう。

「俺はもう身を持たぬ刀じゃない、自分の主くらい自分で決めるさ、此度の人間が俺の主に相応しい、そう思ったから俺は今此処に居る、それだけの事だ」

言い放つと三日月は暫し目を閉じ何かを考えている様子だった。

そしてゆっくりその目を開けると

三「…どうやら、その思いは変わる事は無いようだなぁ………致し方あるまい…」

ははは、と少し困った様に笑った三日月は俺の横を通り抜けて未だ鳴り止まぬ刃の交わり合う音がする方へと歩みを進める。

止めようとは思ったんだが、彼奴の顔を見る限りその必要は無さそうだ。

その部屋の前で三日月は足を止めただ一言言った。

三「…今剣や、もう良い、退くぞ」

刃の音が止む、次に聞こえたのは怒号。

今「っなぜ!?さにわを…!にんげんをまだぼくは…!!」

三「今剣、聞こえなかったか、退け、と言ったんだが」

流石は天下五剣、声だけでこうも恐ろしいとはなぁ、三日月が物分りが良い奴で良かった、正直に言うと先の話合い、白刃戦になっていたなら恥ずかしい事に勝てる気はしなかったからな。

今「…いのちびろいしましたね、つぎはかならずしとめます」

今剣は部屋を飛び出して行ってしまった。

三日月は呆然とする主に対して

三「…今剣がすまなかった、だが俺達とて手酷く扱われてきたのでな…易々と人を信用ならんのはわかるだろう」

主は小さく一つ頷いてみせる

三「…お前はその様な者では無い、というのは霊力を見ればわかる、だが今剣や、同じ刀派の仲間が居る…故に俺は鶴やお前の刀の様に其方側に行くという事は出来ぬが、まぁそうさな…中立側…敵にも味方にもならん」

俺がお前の仲間となるその時は…お前がこの本丸を、刀剣達の凍てついた心を溶かし俺以外のこの本丸全ての刀剣がお前を主と認めたその時だな、と少しだけ笑みを浮かべる三日月。

貴「…わかりました、きっと貴方も…三日月様も仲間、…家族としてその名を呼ぶ日が来る様精進致します」

そんな三日月に対して姿勢を正し頭を深々と下げる、所謂、土下座という姿勢を取り主は言う。

主のその言葉を聞いて三日月は満足気に笑い
期待しているぞ?と言い残して部屋を立ち去っていった。

十四振目「疑問」→←十二振目「守り刀同士」鶴丸side



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作者名:蝉時雨 | 作成日時:2019年9月15日 15時

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