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十二振目「守り刀同士」鶴丸side ページ14

全く、本当に次から次へと厄介事続きで疲れるな。

それにしても、言っちゃあなんだが…人間の中身を知る事を恐れ善悪問わず斬り捨てる、そんな君らに「仲間」だと思われていたとは思わなかったな。

斬られるのをただ黙って見ていただけ、たったそれだけのはずだったんだがなぁ…

まぁ、知っての通り、俺はこの身を持たなかった頃は散々人の醜く汚い欲に振り回されてきた身だ。

人の本質なんざ一目でわかる。

故に今まで斬り捨てられてきた審神者は助けるに値しない、所謂欲深く汚い人間だったから斬り捨てることを止めなかった、それだけに過ぎない。

つまり、斬られるべきでは無い、清く正しく、澄んだ心を持つ俺の主の血を継ぐ子孫たる存在である、今此処に居る審神者は、守るに値する存在であって、此処で斬らせるわけにはいかん、という訳だ。

まぁ、どうやらそれはわかってもらえないらしいがな。

今「…つるまる、…そうですか、そういうことなんですね、そのさにわにあやつられているんですね、きっとそうにちがいないです、なら、ぼくがそのさにわをしとめて、かいほうしてあげます」

現実逃避もいいとこだろう…その審神者を見てみろ、さっきまで茸が生えてきそうな程どんよりとしてぶつぶつと何かを呟いていたのに今剣を見た途端に固まって、今は「あの、あの今剣様が…!義経公の守り刀とされるあの伝説の短刀様が…目の前にぃぃぃぃ」とかなんとか言って感極まって泣き出している状態だ。

これには舞鶴もこんのすけも、無論俺もだが、呆れ顔を隠せないな。

まぁ今剣はそんな事お構い無しの様だが、な。

空を切る音が俺のすぐ横で聞こえる、今剣が審神者に、主に斬りかかったものだと理解はしたが、俺は動かない、否、動く必要が無い。

何故なら

舞「…俺を差し置いて主を斬れるとでも?思っているならとんでもない大うつけ、と言うやつだな」

俺以上に主の事を思い、慕う、「主の守り刀」が其処には居るからだ。

義経公の守り刀と、主を護る守り刀、二振りの「守り刀」としての名をかけた戦い、俺が水を差すのは野暮と言うやつだろう?

俺は睨み合う二振りから一歩、二歩と後退し距離を取る。

ただ一言、舞鶴、と名を呼ぶとその守り刀はちらり、と目線を俺に向け、当然だ、と笑ってみせる。

後は任せようか、…舞鶴。

俺の主を、ちゃんと護ってやってくれよ?

…さて、俺は俺で動くとするか。

激しい刃の交わり合う音を背に俺はその部屋を後にした。

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作者名:蝉時雨 | 作成日時:2019年9月15日 15時

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