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十一振目「敵襲」 ページ13

部屋はまさにカオス、という言葉が相応しい状態だった。

1人の人間は口から魂でも出てきそうな程死にかけた様な表情でぶつぶつと何かを呟き

一振りの太刀はそれを苦笑しながら慰め

また、一振りの短刀はそれを困った様に見つめ

最後に一匹の管狐は短刀を前足でぺしぺし、と効果音のつきそうな勢いで何度も叩いて怒っていた。

鶴「こりゃあ参った…収拾がつかないなこれじゃあ」

舞「…あー…すまん、俺が軽率だった…主にこの手の発言は本気でも冗談でも禁句という事だな…」

こ「当たり前に御座います!審神者様の刀剣への愛は舞鶴様が1番御存知の筈でしょう!?」





そんなぎゃあぎゃあと騒がしい部屋に1歩、また1歩と近付く影があった。

舞鶴はいち早くそれに気付く。

舞「…誰だ、それ以上動くな、此処に近寄るな」

忠告をした声は酷く低く響き、地を這う様な唸り声にも近い、殺気を含んだものとなっていた。

異様な舞鶴の状態に一同は何事か、と思う。

舞「…同じ刀剣の鶴丸ですら気配を感じ取れない、という事は随分と気配を隠すのが上手いんだな?だが俺までも誤魔化せると思うなよ」

ゆっくりと鞘から本体を抜き誰も居ない様に見える方向に刃を向ける舞鶴。

鶴「…気配を隠すのが上手い、となると、短刀か脇差か?」

舞「…恐らくだが脇差にしちゃあまだ気配の隠蔽が甘っちょろい、だがその分随分とまぁちょこまかとすばしっこい様だな」

ま、所詮その程度なんだがな。

舞鶴が呟いて床を軽く蹴り宙へ舞う。

そして一直線に天井の一角を本体を薙ぐ様にして振り払い破壊する。

?「っ…!!」

壊された天井部分から一振りの短刀が姿を現す。

こ「貴方は…今剣様…!」

今「…よくきづきましたね」

ふわ、と長い括られた髪を揺らし舞鶴を睨む短刀、今剣。

今「つるまる、これはどういうことですか、なぜにんげんといっしょにいるんですか、ぼくたちを、うらぎるつもりですか?」

怒りの矛先は審神者や舞鶴ではなく、それらの「敵」となる存在と共にいる鶴丸へと向けられる。

鶴「…裏切る、ねぇ?じゃあ問おう、確かに今まで俺は幾度と無く審神者が斬られるのを見てきただけだった。だがそれが何故俺が君達の仲間だと決めつけられる?」

何時も笑顔を絶やさず悪戯ばかりする鶴丸からその時ばかりは笑顔が消え目を細めあからさまな程不愉快だと言わんばかりの表情を浮かべていた。

十二振目「守り刀同士」鶴丸side→←十振目「過保護(?)な小さな黒い鶴」



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作者名:蝉時雨 | 作成日時:2019年9月15日 15時

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