file:6 家族 ページ6
『こんにちは、カラ松さん』
「こんにちは先生」
今日もにこにこと笑ってカラ松という男は私に挨拶を返した。
「そういえばずっと気になっていたんだが...」
まじまじと彼が私を見つめる。
『ど、どうしました？』
「先生はまだ若い。カウンセラーだけで家族を養えるとは思えないしな。
やっぱり先生は独身か？」
『え、ええまぁ』
「そうか！俺と同じだな！！」
にぱっと嬉しそうにカラ松は笑った。
『そういえば、カラ松さんは
...ご兄弟が、いらっしゃるとか』
詳細の書かれた書類を私は思い出した。
松野カラ松。二十代。無職。
家族は本人を含め8人家族。
母親、父親、カラ松、そして彼の五人の兄弟達。
だがカラ松の家族達は彼に殺される事は無かったようだ。
やはり、家族だからだろうか。
「ああ...いたぞ、家族」
いた、という過去形の言葉に私は思わず
『今でも、貴方の大切な家族でしょう？』と言ってしまった。
するとカラ松はすぅ、と表情が抜け切ったような顔になった。
「ーーー先生には、関係の無いことだろう？
あまり俺のような異常者の事に首を突っ込まない事を勧めるぜ？」
『.....はい、そうします』
(この男は、
ーーー今何を思ったんだろう)
サイコパスは、生まれた時からそういう性質なわけでは無い。
ほとんどが幼い頃に残酷で壮絶な体験をし、それが精神を犯し、こうなってしまうらしい。
では、この男も？
聞けば兄弟達とは仲が良かったという。
もちろん親からの虐待もない。
なのに、何故？？
一体何が、《松野カラ松という人間》をここまで変えたのか。
『...カラ松さん、貴方が犯した殺人で、家族一家を殺害したものがありますよね...』
「あるなぁ...たぶん」
『カラ松さん、殺したその日...逃げずにその家に留まったらしいじゃないですか。
...どうして、ですか？』
ーーー家族が、恋しいのか？
「...そこの家は確か、家族の仲が悪かったんだ。夫婦は離婚寸前。子供との仲も最悪」
『.....』
「一人ずつ殺してやった。そうしたら、どうなったと思う？
...抱き合ってたんだよ。あんなに仲の悪かった家族が、だ。
...そこで俺は思ったんだ。やはり家族はいつまでも一緒で、側にいて。」
『...だから、殺して、
その死体で《家族団らん》という《作品》を作り、...鑑賞していたんですか...？』
「わかってるじゃないか、先生。
...だからって俺が家族愛に飢えているなんて考えは間違ってるぜ？」
カラ松は力なく笑った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 223人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
晴佳(プロフ) - サイコパスなカラ松大好きなので更新待ってます！！！！ (2019年9月29日 12時) (
レス) id: 7c4023ab1d (このIDを非表示/違反報告)
柳 - こういうカラ松も好き (2019年7月23日 11時) (携帯から) (レス) id: d7f028195c (このIDを非表示/違反報告)
雪麻呂(プロフ) - イヴさん» わぁぁあありがとうございます！久しぶりに更新しました..ネタが浮かび次第どんどん更新します！応援ありがとうございます！！ (2019年3月31日 10時) (レス) id: 0884fb0e0f (このIDを非表示/違反報告)
イヴ - こ、こ、更新されてる！？！？この作品大好きでずっと待ってました！！！ありがとうございます！！！これからもずっと応援してます！！！ほんとにほんとに大好きです！！！！ (2019年3月30日 16時) (レス) id: d343ad7b32 (このIDを非表示/違反報告)
麗音 - カラ松と言うことが同じなんだが サイコパスなのかな……？ (2018年9月8日 13時) (レス) id: b0321fd403 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雪麻呂 | 作成日時：2016年12月2日 23時
