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強引に連れてこられたのは、特別校舎三階、完全防音の音楽室。呻きや高笑いは勿論、悲鳴だの叫びだの物を殴る蹴る音だのは、全て壁や天井に吸収され、外には一切聞こえない。
帝光中の整備の良さを、久し振りに呪う。
麻痺していた痛覚が復活していたらしい。久々の苦行は、少し堪えた。
野々村「ふふ、私達の言うことを無視して、皆に近付くのが悪いのよ」
桝添「そうそう。アンタが近付かなければ、こうなることも無かったのに、ね゛っ!!」
貴「かっ…」
【近頃の女子(おなご)はすこぶる強くなった。頭も回るから、余計にたちが悪い】
痛みに耐えていると、唐突に声が頭の中に響く。
貴「…黙って、三雲…」
呟いた途端、また衝撃が身体を襲い、団子虫のように身体を丸める。
【何故。妾(わっち)を遣えば良いじゃないか】
貴「…貴女を遣えば…っ!…彼女達は死んでしま…ぅっ…!」
息を小刻みに吐き出し、痛みをやり過ごす。上の方で彼女達が何か言っている気がするが、もう微かにしか聞こえない。
【…ふゥン。妾のご主人は随分と優しいんだねぇ…仕方ない】
ふっと気配が消え、シャンと鈴のような音が響いた。頭上で息を呑む気配がする。
風の音。
そっと目を開けると、私を護るように立つ彼女―三雲の姿が視えた。その周り一面に、桜の花弁の竜巻が渦を巻く。
目を見開く野々村さん達は、勿論三雲が視えていない。
桝添「何よこんなの…きゃっ!」
無謀にも桜に突入しようとした桝添さんに、花弁と風が襲いかかる。目を塞ぎ、肌を斬り、小さな刀は美しく咲き乱れる。
【主を傷つけるモノは、何人たりとも赦さぬ】
喉の奥で短く悲鳴を上げた野々村・桝添らは、一歩、また一歩と後退る。
そして、ドアが開いた。
銀の長い三つ編みを靡かせ、視線を集めながらその男は入ってくると、臆せず桜吹雪へ入っていく。
「証拠はばっちりだ、我が主よ」
低めの落ち着いた声。
貴「…か…すみ…」
霞「すまないA…」
力の入らない私を抱き起こし、霞が顔を近づける。
霞「…遅くなった」
サァァアと桜吹雪が強くなる。完全に視界が塞がれたとき、唇を霞のそれがこじ開けた。
やがて視界が晴れたとき、霞によって注がれた『妖力』が、私を満たしていた。
桜が薄れる。
黒子君その他が到着したのはその15分後。
桜は依然、私達を護るように舞っていた。
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リサっペ(プロフ) - キセキのファンの先輩?の名前が舛添と野々村って作者さん狙ってますか?笑笑 (2019年1月10日 1時) (レス) id: cc75c6e61c (このIDを非表示/違反報告)
妖怪アパート大好き(プロフ) - 夏目友人帳と黒子のバスケのコラボ作品だなんて、嬉しすぎます!これからも、頑張って下さいね。いつでも、応援しています (2016年7月29日 13時) (レス) id: 589fb42408 (このIDを非表示/違反報告)
しぇるふぃあ。 - な、夏目くんの彼女設...?!これからも無理せず頑張ってください!! (2016年6月14日 7時) (レス) id: 2fca820d76 (このIDを非表示/違反報告)
百鬼(プロフ) - 面白いです!夏目友人帳も黒バスも両方好きなので、コラボ作品嬉しいです!!これから、どうなるのか展開が楽しみです!更新、頑張って下さい♪ (2016年6月5日 0時) (レス) id: 3beef78559 (このIDを非表示/違反報告)
マコト - わぁぁぁぁぁぁぁい!!続編だぁぁぁぁぁぁ!!楽しみだな!楽しみだな!頑張ってくださいねぇぇぇぇぇ! (2016年6月4日 21時) (レス) id: f1a7d746af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:泉水真琴 | 作成日時:2016年6月3日 22時