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土方side
·

「藪から棒に、なんだ。…そりゃあ、助けに行くよ」

当たり前だと言うように、近藤さんは答える。

「でも無理なんだよ」

四回も、近藤さんは死んでいるのに。

「それでも助けるしかないだろ」

「助けられねえんだよ!助けようとすればするほど、どんどん悪くなんだよ!」

俺は気づいたら彼に怒鳴りつけていた。何の話だ?と近藤さんは更に首を傾げる。

「わかんねえ…」

俺は呻いた。分からない。なんで繰り返されるのか。なんで助けられないのか。なんでどんどん、悪い方向に進んでいくのか。

近藤さんは俺に近づき、ぽん、と肩を叩いた。

「トシは死なないだろ?まだミツバ殿に思いも伝えてないしな」

「…え」

ミツバ?思い?
彼の真意がわからず、今度は俺が首を傾げる。

「好きなんだろう、ミツバ殿のことが。ミツバ殿もトシにそう言って欲しいと思うぞ。…二人を見てると、どうもじれったくてなぁ」

がはは、と近藤さんは豪快に笑う。

「…いや、近藤さん、告白するんじゃ」

「ああ、あれはトシをよろしくって言うつもりだったんだよ。それに、トシを焚きつけようとも思ってな」

…そういう、意味だったのか。
俺はぽかんと口を開けてしまった。


「わかっていると思うが、ミツバ殿はとても素敵な人だぞ。大切にしてやれよ」

近藤さんはそのまま、公園を去ろうとする。

「…待ってくれ」

俺は近藤さんを呼び止めた。
どうしても、聞きたかった。振り返るに、俺は尋ねる。

「近藤さんにとって、一番大事なモンは何だ?」

転倒、鉄骨、強盗、火事。
今までの彼の死が、頭を掠める。

「そんなの決まってるさ。家族だよ」

弟と妹、父さんと母さん。清々しい笑顔で、近藤さんは告げる。
一家全員焼死。新聞の記事が胸に浮かぶ。

「…そう、か」

もう、引き止められなかった。
歩いていく、遠ざかっていく近藤さんを、俺はただ見送っていた。


***

家に帰れば、当たり前のように電話が鳴った。

《大変っ…!近藤さんが!》

切羽詰まった彼女の声を、俺は黙って聞いている。

《近藤さんが、今日の夕方、亡くなったって…!》

「…どうして」

《石段を、踏み外して、頭を打ったそうよ…》

決まってるさ。
近藤さんの声が脳裏で蘇る。

すすり泣くミツバの声が、電話越しにずっと聞こえている。
俺は何も答えずに、その声を聞き続けていた。


当然日は登り、次の日がやってくる。
吸い寄せられるように動く足。
公園へと、向かう。

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みるくれーぷあいす(プロフ) - ちぃなさん» ありがとうございます!これからも楽しんでいただけると嬉しいです。 (2019年10月30日 16時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
ちぃな - ホラー好きなので嬉しいです!更新楽しみにしてます。 (2019年10月29日 14時) (レス) id: 43ae00df60 (このIDを非表示/違反報告)
みるくれーぷあいす(プロフ) - 綾葉メグさん» ありがとうございます!マイペースな更新ですが、これからもよろしくお願いします。 (2019年10月27日 17時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
綾葉メグ(プロフ) - 面白いです!更新楽しみにしてます! (2019年10月27日 15時) (レス) id: fe3feae032 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みるくれーぷあいす | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ykoma1218/  
作成日時:2019年10月15日 1時

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