電流が走る 【あんさんぶるスターズ】

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早朝

まだ辺りは薄暗く、東の空が薄っすらと澄んだ青に染まってきた頃

そんな時間帯に私は家を出る

玄関の扉を開けた瞬間、顔に当たる風の冷たさは既に春が来たとは思えないくらいだ

つけていたマスクを外し、はぁと息を吐けば口から白い気体が出て空気中へと消えていく

その様子を少々眺め、マスクをつけて再び歩みを進める

目指すは隣の豪華な御宅

玄関まで続く大理石の道を履いたローファーで踏み鳴らし、真っ白な木製の扉についたキラキラと輝くとってを思い切り押す

扉はとても重厚感があり中々に重たい

頑張って扉を開け、またもや大理石で拵えられた玄関にローファーを並べる

肩から提げていたトートバッグから愛用しているスリッパを取り出し履き替える

そして迷いもなくキッチンへむかう

キッチンへ入ると自動で電気が点き、ピピピッと電子音が鳴る

手を洗い、エプロンを身につけ冷蔵庫から必要最低限のものを出し、そして、調理を開始する

おっと、申し遅れました 私の名前は直葉 直葉Aという

華の女子高校生にして、毎朝幼馴染の世話を焼いている

苗字が名前みたいでよく間違えられますが直葉が苗字だ

なんで私が幼馴染の面倒を見ているのかという事については後々

あぁ、それにしてもこの肉また消費期限ギリギリのヤツ

このジャガイモなんで日光の当たるところに置いてあるんだ…日光にあたったら芽が出てくるだろうが

この一家は本当に適当だな

頭痛が起きそうだ

テキパキと手を動かし仕事をしていると、日が昇り辺りが明るくなった

慣れた手付きで朝食をテーブルへ並べ使用した食器を洗う

水を払い、未だ目覚めようとしない幼馴染を叩き起こしに二階へ上る

緩やかな螺旋状の階段を上りきり、つきあたりの部屋の扉を開け放つ

中は所々に魔法陣や分厚い古びた古書が置いてあり、乱雑に揃いの制服が投げ捨てられている

そして奥で寝息に合わせ、上下する毛布

ちらりと枕元から覗かせる艶やかな髪は、赫

その髪を一束摘み、軽く手前へ引っ張ってみる

もぞり

少しだけ反応を示す

思い切り布団を引き剥がせば、うつ伏せで眠っていた彼は体を起こし

まだ眠たげな眼を擦りながらこう告げるのだ

「…Good Night……A」

そう彼こそかの有名な五奇人の一人にして、Switchというユニットのリーダー 逆先夏目であり

そして私はその幼馴染なのだ

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