あ、認知しなくて結構です。【花宮真】

baby＊36 ページ37

「…Aちゃんの切迫流産の理由はストレス性疲労かもって、お医者サンは言ってたんすよ」

「…！」





少しだけ、花宮サンが驚いた顔をする。


本当にAちゃんは、あれからこの男と連絡を取らなかったのだろう。




弱音も吐かない、ネガティブな様子も見せない彼女が、ふとした拍子に切なげな表情をすることがあった。

そんな顔をする原因が何なのか、オレはなんとなくだけど分かっていた。


でもAちゃんの側にいられるのは、心の底から笑顔にしてあげられるのはオレなんかじゃないとも分かっていた。


一時的な慰めの言葉なんて、

1人で強く生きると決意した彼女にとっては無駄な産物だから。




その弱々しい小さくなった彼女の背中を



見て見ぬフリすることしかできなかった。





「花宮サン、あんたのせいっすよ。Aちゃんをここまで追い込んだのも、結果的にこうなったのも全部」





だから、


オレにはない、Aちゃんを守ることができる権利があったはずのこの男が彼女を見捨てた上に、

こうして呑気にこの場にやってきたことがオレは許せないのだ。



Aちゃんを何とも思ってないくせに
こんな中途半端な態度をとることがまた彼女を傷付けるというのに。





「Aちゃんが望んでるのは他の誰でもない花宮サンだけだったから、オレは今まで彼女に手出ししなかったんすけど…やっぱもう色々ガマンの限界超えたっていうか？」





彼女本人の気持ちとか、今はこの際関係ない。

こんな男に任せておけない。









「Aから手引けよ。

あんたがちゃんとしないってんなら、オレがあいつと一緒にいてやる。何があっても絶対にあいつとあいつの子供を守る」









*









*









「……ふざけんなよ」

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