ネガティブ姫の疑問【ジャーファル】

37＊嬉しさと不安が ページ39

私は自室に帰っていた






ベッドへと潜り込み毛布で
体をくるむ






周囲から身を潜める弱い動物のように






もはや、この温もりすらも信じられない






外から歓声が聞こえる






皆が歓喜の声をあげ





歌う、唄う、踊る、躍る





謝肉祭は盛り上がり真っ只中





そんな中、自室へ踵を返した私の脳内には






壊れたレコードのように彼の言葉が
なり響いていた









『貴女が生きていると言うことが
何より価値あることだから』





彼はなんて優しいんだろう







それとも、ただの気休め？






政務官として私を慰めただけ？





それとも私を心から心配してくれたの？






彼も月日が経てば私を忘れる？

見捨てる？

過去を知れば

蔑む？

意味がなくても恨む？

あぁ、もう




嬉しさと不安が渦を巻いている





誰かに自分と言う存在を認めてくれたという喜び






まるで燭台の上でゆらゆらと揺れるろうそくのよう





どうしようもなく嬉しく、暖かい






凍り付いたように閉ざされていた心が溶けていく






彼が私の生い立ちを知ったとき、
どうするかという不安





彼は私をさっきのように受け入れてくれる？





まるで燭台の上のろうそくが溶けていくよう






どうしようもなく心がぐらつく






今は大丈夫だと信じよう






彼なら、きっと、受け入れてくれる



つかの間の幸せでもいい







裏切られてもいい









彼を………









信じさせて………頂戴

38＊心配してくれて→←36＊価値

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す