17 飛び出す勇気。 ページ18
神田が先程までの殺戮兵器を倒している時の様子と明らかに違うのはわかっていた。あいつは相手を殺したくないんだ。自分が殺戮兵器と戦っているだけに、人は殺したくないのだろう。殺戮兵器を倒す意味が無くなってしまうから。
相手もなかなかの手練れらしかった。ナイフにハサミに銃、あの数は一般人が護衛用に持っているにしては多すぎる。おそらくそういう職業なのだ。目が据わっているのも不気味さを感じさせる。
「！」
咄嗟にAの目を隠した。銃で神田が貫かれるシーンなど誰も見たいものではない。鈍く響く銃声と男の勝ち誇ったような声にAも何かを悟ったらしく俺の手を振りほどいて上から顔を覗かせる。
「嘘……」
呟いてぺたんと座り込む。腰が抜けたのだろうか、戦場にいたわけでもないから死を見慣れているはずもないため無理もない。
「さて、コンクリートで足固めて海に投げ捨てりゃさすがに生き返らねーわな」
その言葉に弾かれたように立ちあがる。さすがに聞き捨てならなかった。Aを助けるために少しとは言えともに戦ってくれた仲間だ。Aより先に自分が飛び出していた。
「神田に触んな‼」
男が手に持っている銃を蹴り飛ばす。飄々としていた奴もこれには少なからず驚いたらしかった。
「……黙ってさっさと逃げれば見逃してやったのによクソガキが。そこの嬢ちゃん撃たれたくなきゃ引きさがれ」
Aにも気づいていたのか！
すると男はニヤッと笑う。片手の銃は１つだけ弾が残っている。
「甘いな。引き下がっても撃つぜ、邪魔だしな」
あれほど当たらなかった弾が、あまりにもあっさりとAの右肩を貫く。逃げようとしたから少しズレたようだが、それでも深くまで行けば重症だ。
「A！出てくるなって言ったろ……！」
「おいおい敵に背中向ける奴があるか」
落ちた拳銃を拾い、照準をこちらに定め直しているようだ。それも気にせず、神田を引きずり、外へ出す。Aを背負うともはや機能もしないであろう鉄製のベコベコに凹んだドアを思い切り閉めた。
あいつは撃ってこなかった。仕事を達成したところで報酬が貰えないと思ったのかもしれない。電話は聞こえていた。神田を捕らえたら迎えに来るとのことだったが、迎えにこないあたり裏切られたか捨てられたのだろう。裏じゃよくあることだ。
早く、この2人を病院へ連れて行かないと。
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湫(プロフ) - 神田ユエさん» こちらこそ拙い作品に最後までお付き合いいただきありがとうございました！応援メッセージもとても嬉しかったです、気が向いたらまた番外編を更新するかもしれませんのでよろしくお願いします。 (2016年7月23日 13時) (
レス) id: e79bcec08f (このIDを非表示/違反報告)
神田ユエ - 感動をありがとうございました！ (2016年7月23日 11時) (レス) id: 1e0d488be5 (このIDを非表示/違反報告)
湫(プロフ) - アイアさん» お返事遅れてすみません。更新は相変わらずノロマですが見放さず最後まで見届けていただけると幸いです。 (2016年5月24日 16時) (レス) id: e79bcec08f (このIDを非表示/違反報告)
アイア - 更新、頑張ってくださいね！無理はなさらないよう体調も崩さないように気をつけてください。お待ちしております (2016年5月5日 23時) (レス) id: ef2d1622aa (このIDを非表示/違反報告)
湫(プロフ) - 名無しさん» 更新は不定期になりがちで申し訳ないです。月に一度は必ず更新するので気長に待っていただけると幸いです (2016年4月25日 19時) (レス) id: e79bcec08f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湫 | 作成日時：2016年3月23日 9時
