プロローグ ページ1
もう少し早く終わっていれば近くの村まで辿り着けただろうに。こうも雨と霧が出ていては帰り道すらわからない。あの森で一夜過ごすのはさすがに良くない。AKUMAが群がってくるのが目に見えている。
神田はそれでも走っていた。取り敢えずはどこか雨宿りできる場所を探さねばならない。
しかし、辺りは
恐らく人だ。自分と同じようにこの森で迷ってしまったのだろう。
神田は声をかける事にしたようだ。
「おい、アンタここで何してる」
赤い傘を持った少女は振り返る。
西洋の地では珍しい、黒髪の女だった。
「散歩です。雨の中の散歩も中々良いものですよ」
変わった奴だ。けれど少しうねって傘から出ている毛先についた雨の雫は小さな宝石の如く美しく見える。雨の中の散歩も悪くないのかもしれない。
「傘をお持ちでないのですね、一緒にでよければ入りませんか」
彼女は神田の方に近づき、傘を傾けた。
近づくと彼女はかなり華奢で自分の肩より少し上くらいしかないことに気がつく。
そのせいか必死に腕を上げて傘を持つ彼女が可笑しい。
「俺が持とう」
「すいません……」
恥ずかしそうに傘を渡す彼女。
そういえばなぜ雨の日に散歩などしていたのだろう。不思議に思い顔を覗くと彼女はとても愛おしげな表情をしていた。
「雨の日は、植物が綺麗に見える気がしませんか。紫陽花なんかの可愛らしいお花は雫が乗ってキラキラするでしょう？」
「……あぁ、そうだな」
そう言う彼女の瞳は晴れ渡る青空のように澄んでいて、神田は息を呑んだ。
「そこが、私の働く喫茶店なんです。雨が上がるまで休んで行かれてはどうですか」
「助かる」
赤レンガの古風な建物だが、それがまた雨の日の鬱陶しい空気を払うように気品のある佇まいをしていた。
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湫(プロフ) - 神田ユエさん» こちらこそ拙い作品に最後までお付き合いいただきありがとうございました！応援メッセージもとても嬉しかったです、気が向いたらまた番外編を更新するかもしれませんのでよろしくお願いします。 (2016年7月23日 13時) (
レス) id: e79bcec08f (このIDを非表示/違反報告)
神田ユエ - 感動をありがとうございました！ (2016年7月23日 11時) (レス) id: 1e0d488be5 (このIDを非表示/違反報告)
湫(プロフ) - アイアさん» お返事遅れてすみません。更新は相変わらずノロマですが見放さず最後まで見届けていただけると幸いです。 (2016年5月24日 16時) (レス) id: e79bcec08f (このIDを非表示/違反報告)
アイア - 更新、頑張ってくださいね！無理はなさらないよう体調も崩さないように気をつけてください。お待ちしております (2016年5月5日 23時) (レス) id: ef2d1622aa (このIDを非表示/違反報告)
湫(プロフ) - 名無しさん» 更新は不定期になりがちで申し訳ないです。月に一度は必ず更新するので気長に待っていただけると幸いです (2016年4月25日 19時) (レス) id: e79bcec08f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湫 | 作成日時：2016年3月23日 9時
