とある戦者の物語【庭球浪漫/幸村精市/夢無】 (ページ4)

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見知らぬ、懐かしき訪問者。ページ4

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何度も何度も夜を繰り返した頃。彼の元を、訪れる者があった。

「……ここか。」

「ああ、間違いない。」

彼の前へやってきたのは、年老いた男たち。

彼に、その男たちとの面識はなかった。……ただ、彼は、どこかその男たちが懐かしく感じたのだ。

「……随分と遅くなった。すまない。」

彼らは各々手にしていた白い菊を、幸村の前へ置いた。幸村が目に入らないのか、一人が静かに口を開く。

「本当はもっと早くここへ来たかったのだが……何しろ、しばらく他国で捕虜として囚われていてな。帰ってきても、お前がどこへ葬られたのかわからなくて……」

「ようやく、この場に埋められたと風の噂で聞いた。……寂しかったろう。言い訳をするつもりは無い。……すまなかった。幸村。」

「……！？」

目を見開いた。なぜ、面識もない男たちが自分の名を知っているのか。

しかしその謎は、すぐに解けた。

(……ああ、そうだ。)

何処かで聞いたことのある声だと思った。何故懐かしいのか、疑問だった。

まるで氷が溶けていくかのように、記憶が流れ出す。

わかったよ。君たちは。

「君たちだったんだね……真田。蓮二。」

自分よりもずっと年老いた、あの日別れた二人の仲間。