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戦者の記憶 ページ2
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(もう、とうに戦争など終わったというのに。)
それなのに、何故彼らは自分の元へ現れないのだろう。
捕虜として捕まって、他国で未だ戦っているのだろうか？
「……」
靄がかかったように、思い出せない記憶。
彼らは確かにあの時、自分と共にいたのだ。
思い出そうとしても、靄の向こうの記憶はいくらやっても思い出してはくれない。
「……早く、来い……真田……蓮二……」
二人の名を、口にする。
言ったからといって、彼らがそこに現るわけでもない。幸村は、静かに軍帽を深く被った。
気がついた時から、彼はずっとここで二人の仲間を待っていた。
義理堅い二人が約束を破るなんて思えなくて。ただ、ひたすら。ひたすら。
……否。待たざるを得なかった、と言った方が正しいのかもしれない。
彼は、そこから動けなかった。まるで、足に根が張ってしまったかのように。少しも、そこから動けなかったのだ。
そのうち、彼らを望み、待つうちに動けぬことなど彼にとってどうでもよくなった。
ただ、彼らが無事ならば。
そうして今日も、彼はひたすらそこに、立ち続ける。
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作者名：幻想曲 | 作者ホームページ：http://uranai.amanoboru
作成日時：2016年2月17日 3時
