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華やぐ街で、一人。 ページ1
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ある街が、あった。
その街は、先の戦争で戦場となり、多くの損傷を負った。
戦争が終わるとその街は、やがてかつてのように華やいだ街へと再び姿を変えた。
平和が馴染み、戦争という言葉も聞こえなくなっていく、その最中。一人たたずむ、男がいた。
古びた剣を手にし、汚れた深緑の軍服を纏った、男。同じく深緑の帽子から覗く青い髪は、それらとは違ってなんとも言えぬ美しさを保っていた。
「……」
男は、ため息がてらに空を見上げた。
街ゆく人々に目もくれず、男は空を見上げる。彼は一人、流れていく灰色の雲を眺めていた。
「……まだ、かなあ。」
ぽつりと言葉が漏れた。しかし、それを気にする者は、そこにはいなかった。
彼は、先の戦争で兵として、隊長として、この街に送り込まれていた。
その時に、彼に付いて共にやってきた仲間が、二人。
彼ははぐれたその仲間を一人静かにそこで待っていたのだ。
紅色の壁を背に、佇み続ける。
名を、幸村精市と言った。
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作者名：幻想曲 | 作者ホームページ：http://uranai.amanoboru
作成日時：2016年2月17日 3時
