Story3 ページ6
宇井side_
『はあああああぁぁぁ…』
思わず大きく息を吐く。
『大丈夫か宇井。とりあえず初日お疲れ様。』
『いや、気にし過ぎている私のせいでもあるんでしょうけど…本当どうしたら良いんでしょうあの子。喋ってくれなきゃまともに仕事できないですよね。』
『俺も今日一日で十分わかったわ。あれは戦闘になった時に危険だ。…おい、一本くれ。』
仕事終わりの煙草は、いつしか日課になっていた。
それも、特等になってから増えた気がする。
こうして富良さんに一本手渡すのも、いつもの光景。
『アキさんに怒られますよ?』
『わかってるさ。…こうでもしないとやってられねぇんだよ。』
『………。』
『…なんだか静かですね。』
『…そうか?いつもこんなもんだろ。』
…違う。
いつもの光景なんかじゃなかった。
この静けさが何を意味しているのか。
富良さんも気づいていない筈がないのにそれを口に出さないのは、気遣いからだろうか。
この部屋に、けだるそうに私の名を呼ぶあの声が
響くことは、
もう二度と無いのだから。
『で、どうするつもりだ?さっきの話。今日の様子を見た限りじゃすぐに改善しそうもないだろ。』
自身の思考に浸っていた私は、富良さんの声で現実に引き戻された。
『そうなんですよね…
というかそもそもなんで喋らないのかがわからないとどうしようもないですよあれ。』
『なにかしら理由か原因があるんだろ。最初に会った時からあの状態だったのか?』
『最初…有馬さんとは普通に話せていましたね。』
『有馬ってまたなんで…』
そうだ。有馬さんとは普通に会話ができていたんだ。
何故あの人だけは例外なのかは本人に聞いてみないとわからないだろう。
『…とりあえず今は会話の手段を考えた方がいいんじゃないか?』
『会話の手段…筆談はどうですか?』
『原始的だな。時間かかって仕方ないだろう。』
『じゃあどうしろと…』
『そうだな…あ、これはどうだ?』
『ん?_____
どこかで猫の鳴き声が聞こえた。
〖__本心は忘れ去られたまま、夜風に凍える__〗
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仄留(プロフ) - レイアさん» 文才だなんてとんでもない!!1話書くのに100回くらい見直さないと投稿出来ないヘタレなだけです…(^_^;)そのせいで更新速度が…すみません!! (2016年3月14日 0時) (レス) id: 276d13dd6b (このIDを非表示/違反報告)
仄留(プロフ) - 53@itumiさん» ハイルはこの時間軸の中だともう死んでるので、回想と過去話のみになってしまうかもしれないんですが…すみません更新頑張りますね!!! (2016年3月11日 13時) (レス) id: 652b4e3491 (このIDを非表示/違反報告)
53@itumi(プロフ) - 続きがきになります!ハイルのこと書いてある小説が少ないので嬉しいです! (2016年2月29日 18時) (レス) id: 56431d0d53 (このIDを非表示/違反報告)
レイア(プロフ) - 仄留さん» とても面白いです!文才、いと羨ましき……。私もこんな風に書けたらなぁとしみじみと思いました。応援してますよ!更新、頑張ってください! (2016年2月29日 15時) (レス) id: 3681228ea6 (このIDを非表示/違反報告)
仄留(プロフ) - 社さん» すみません只今、絶賛執筆中です!!近いうちに更新いたしますのでもう暫くお持ちください!!! (2016年2月22日 15時) (レス) id: cb5ecd7c71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:仄留 | 作成日時:2015年10月29日 0時