Ausblenden und lieben【東京喰種:re】

Story １ ページ2

あくる日の、ＣＣＧ３区支部。

窓の外、青く澄み渡る空とは打って変わって
私は憂鬱だった。


「…有馬さん。先にお聞きしておきたいのですが、その宇井という方…男性ですか？」

『うん。待たせてるから、会議室入って。』

「…はい。」


ハイルの死を告げられたあの日、私の中でもう一つ変わったことがあった。

それは、Ｓ１班への異動。

私はその班長である宇井という人物と組むと聞いたが…


宇井郡。亡きハイルの最期のパートナー。

チクリと胸が痛む。


一体どんな人なんだろうか。
いや…それよりも問題なのは…


ガチャ


『あ、有馬さん。と…そちらの子が…』

『やあコオリ。こちらが今日から君のパートナーになる梶原(かしはら)A。
　以前は俺の班に…といってもコオリとは入れ違いになったから面識は無いだろうけど
　２４チームにも所属していた。上等捜査官だよ。』

『２４チーム…』

『それから、A、こっちがＳ１班班長の宇井郡で特等捜査官。
　詳細はさっき話した通り……A？』


正直、有馬さんの話は殆ど耳に入っていなかった。

透き通るような白い肌。
絹を思わせるくらい艶やかな黒髪。
不思議な色を灯した大きな瞳。

その姿はまるで…


「有馬さん…この方、どっちですか？」

『え…？』

『男。さっき言わなかったっけ。』

「すみません。確認しておきたかったので。」


一瞬でも期待した私が馬鹿だった。
当の本人には僅かに怪訝な顔をされたが、そんなことはどうでもいい。


『…とりあえず、これから宜しくお願いしま…』

『あ、コオリ、一つ言い忘れていた。
　


彼女は極度の男性嫌いで俺以外の男性とは一切喋らない。それだけよろしく。』



暫しの沈黙…そして絶叫。



『え、えええぇぇっ!?それじゃあ、私はどうすれば…!?』

『まあ、頑張れ。』

『いや頑張れって…
そもそもそういった問題があるなら、わざわざ男性と組ませるべきではないんじゃ…』

『…これは俺の想像だけど、上も上でAの男性嫌いを早いとこ直しておきたいんじゃないか？
後々面倒になるだろうしな。そういう訳で、コオリに彼女を任せたい。いい？』

『…わかりました…』


『…ええと、君の男性嫌いが治るように私も協力するので、これからよろしく。樫原上等。』


こんなに可笑しな初めましてってあるだろうか。

そんなことを考えながら小さく頭を下げる、今日この頃だ。

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