Vorspiel_プロローグ_ ページ1
『ハイルが…死んだ。』
その言葉を聞いた時にはもう、勝手に体が動いていた。
曇り空の下、生ぬるい風が薄気味悪く頬を撫でる。
嘘だ嘘だと頭の中で繰り返しながら、ただただ、走った。
指定された建物に辿り着き、私を待っていてくれたらしい有馬さんに案内されたのは、霊安室。
狭い部屋の中心には、白い布を被せられた何かが、ぽつりとあった。
「ハイ…ル…?」
重い足を引きずりながら、ゆっくり近づく。
そして、小さな布を取った。
「…ッ!!!」
それは間違いなく彼女だった。
いつも不敵な笑みを浮かべ、どこか掴みどころのない、それでいてとてつもない強さを持った
伊丙入そのものだった。
もう、二度と目を覚まさない事を除いては。
「ハイル…お願い…返事して…ハイルッ…!!」
掠れた声が部屋に響く。
身体を揺らしてみても、頭と右腕にはその振動が伝わらない。
それが何を意味するのか、考える必要も無かった。
「嘘だ…こんなの…」
床に崩れ落ちながらも彼女の右手にしがみつく。
幾ら頭で否定しても、両手に伝わる冷たい体温が、無情に現実を突きつける。
遠くで誰かの泣き声が聞こえた。
私だった。
______________________________
どれくらい時間が経っただろうか。
気づくと、廊下の椅子に座りぼんやりと宙を眺めていた。
隣で誰かと電話をしていた有馬さんが、不意に私に声をかける。
『A、こんな時に話すのは場違いかも知れないけど聞いてほしい。』
『今、上から君の異動が命じられた。異動先は………』
カチリ
歯車が、回り始める。
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仄留(プロフ) - レイアさん» 文才だなんてとんでもない!!1話書くのに100回くらい見直さないと投稿出来ないヘタレなだけです…(^_^;)そのせいで更新速度が…すみません!! (2016年3月14日 0時) (レス) id: 276d13dd6b (このIDを非表示/違反報告)
仄留(プロフ) - 53@itumiさん» ハイルはこの時間軸の中だともう死んでるので、回想と過去話のみになってしまうかもしれないんですが…すみません更新頑張りますね!!! (2016年3月11日 13時) (レス) id: 652b4e3491 (このIDを非表示/違反報告)
53@itumi(プロフ) - 続きがきになります!ハイルのこと書いてある小説が少ないので嬉しいです! (2016年2月29日 18時) (レス) id: 56431d0d53 (このIDを非表示/違反報告)
レイア(プロフ) - 仄留さん» とても面白いです!文才、いと羨ましき……。私もこんな風に書けたらなぁとしみじみと思いました。応援してますよ!更新、頑張ってください! (2016年2月29日 15時) (レス) id: 3681228ea6 (このIDを非表示/違反報告)
仄留(プロフ) - 社さん» すみません只今、絶賛執筆中です!!近いうちに更新いたしますのでもう暫くお持ちください!!! (2016年2月22日 15時) (レス) id: cb5ecd7c71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:仄留 | 作成日時:2015年10月29日 0時