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「神楽ちゃん、妙に気合い入ってますね。大丈夫かな」

新八は心配そうに呟くと立ち上がり神楽の後を追う。

残された銀時は苛立つ土方と二人になってしまった。
普段彼が生活しているのであろうこの副長室は書類の山で散らり気味だ。
ふと、壁にかかった刀が目に入る。

土方と知り合ってから剣を交わすことがあったが、この刀を使っているところは見たことがなかった。

「その刀はAのだ」

銀時の視線に気がついたのか土方が呟くように言った。

「俺達が江戸に出ると決めてからAと喧嘩した。あいつは家を飛び出して、その時に置いていったんだ」

「Aから聞いてるよ。それは悲しそうな顔で土方くんと喧嘩した話してたぜAは」

淡々と言葉を紡ぐ土方の横顔と、悲痛な顔で過去を語ったAの顔を重ねながら銀時は呟いた。
血の繋がりはないと聞いていたこの兄妹には、しかしどこか似た主影がある。

「俺にそれを悲しむ資格はない。Aあんな顔を見たのは後にも先にもあの時だけだ」

苦しそうに答える土方はここで言葉を区切り、否と言い直す。

「妹なんて居ないと嘯いた時、Aが走り去る前にも同じような顔をしたな」

その顔が、銀時にはずっと引っ掛かっていた。
あの、苦しそうな笑顔。何かを諦めたかのように、しかしどこかに慈しみを感じるあの笑顔。
師に、よく似ているように思った。

師に似た顔をする少女に、皆が乱されている。
彼女の無事を願ってみんなが動いている。
そうさせる何かが彼女にはあるように思えた。

「俺は、Aの兄を名乗れるような男じゃねぇが、妹1人助けられない兄貴に成り下がるつもりもねぇ」

何かを決意したかのような土方の声に引き戻される。

「どんな手を使ってでもAを連れ戻す。」

土方はいつの間にかこちらを真っ直ぐ見ていた。

「妹を見つけ出す為に協力してくれ万事屋」

決意の籠った声だった。


「てめーの妹にも似たような依頼されてるんでな、期待してろよ」

銀時も立ち上がる。
とにかく今は虱潰しに江戸を調べるしかない。


副長室の襖に手をかけようとした時、勢いよくその襖が開かれた。

続→←やめたら、その4



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さくらんぼ☆*.゚︎ - 初コメ失礼します!このお話 最高です!続き気になります!更新頑張ってくださいね!!応援してます! (2022年12月12日 0時) (レス) id: def3760315 (このIDを非表示/違反報告)
薄良(プロフ) - お餅さん» うわあああ申し訳ねぇ.......細かい設定を忘れ去っていました。普通に主人公の年齢と合いませんね.......細かい年齢表記削除しておきますありがとうございます (2020年2月20日 0時) (レス) id: 38546ea573 (このIDを非表示/違反報告)
お餅 - あの…総悟が5歳のときって土方さんいましたっけ?土方さんが来たのって総悟が13くらいのときじゃありませんでした?違ったらすみません (2020年2月19日 18時) (レス) id: 436e739fd5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:薄良 | 作成日時:2019年5月6日 0時

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