続 ページ19
「としぞうさん、あの子はねぇどこにそんなに溜め込んでたのかってくらい、毎日泣いたよ。あんたと、幼馴染と、名付け親と、姉みたいに慕ってた、、なんだったけねぇ、憧れた女性が恋しいってねぇ」
「そんなあの子が、ようやく泣かなくなってねぇ、仕事も覚えて、私の手伝いを沢山してくれるようになった。私はもう随分と前に旦那に先立たれて、若いうちも子供に恵まれなかったから、娘ができたみたいで嬉しかったぁ.......」
老婆は茶を啜る。
そうして五分程黙ったあとに、また口を開いた。
「そんな時だったんだよ、あいつがやって来てね。
あの日あの子は非番で、こんな田舎じゃあ若い女なんて珍しいから、なかなか見当たらなかったんだろうね、腹が立っていたらしい。婆さんがやってる団子屋を腹いせに荒らしたんだ。
物音を聞き付けたAちゃんは黙ってなかった」
そこからの流れは土方も知っていたが、しかしそれでも話を遮ることはしなかった。
タバコに火をつけようと思ったが、老婆の身を配慮しやめた。
「あの子はね、強いんだよ。だから天人を一瞬で伸した。
でもそのせいでね、あの子は無理な結婚を強いられたんだ。
私のせいだ。天人は、私を人質にとったんだ。
あの子は、私を見捨てられるほどに強くはなかったんだ。
きっとまた、あの子は独りで泣いてる。
だからねぇ、十四郎さん。あの子を、あの子を助けてやって欲しいんだ」
老婆の声は震えていた。
土方は驚いたように老婆の顔を伺いみる。
「あの子は、私の宝物だ。あんたにとってもそうなんだろう?
助け出して、そうしてこんな老いぼれ忘れるくらい幸せにしてやってくれ。あの子が泣いた、倍くらい幸せに、笑えるように」
老婆は縋るように土方の手を握る。
土方はそれを払うことなく小さく決意を口に出した。
「俺の妹は助け出してみせる。待ってろ婆さん、笑ったあんたの娘とまた会わせてやる」
立ち上がり団子屋を出ようとする土方を老婆が止めた。
「まぁ待ちなさい。としぞうさん。婆さんの長話のせいで夜も深けてしまったから今夜は泊まっていきなさい。Aちゃんが使っていた部屋が空いているから」
土方には老婆の言葉を断る理由がなかった。
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さくらんぼ☆*.゚︎ - 初コメ失礼します!このお話 最高です!続き気になります!更新頑張ってくださいね!!応援してます! (2022年12月12日 0時) (レス) id: def3760315 (このIDを非表示/違反報告)
薄良(プロフ) - お餅さん» うわあああ申し訳ねぇ.......細かい設定を忘れ去っていました。普通に主人公の年齢と合いませんね.......細かい年齢表記削除しておきますありがとうございます (2020年2月20日 0時) (レス) id: 38546ea573 (このIDを非表示/違反報告)
お餅 - あの…総悟が5歳のときって土方さんいましたっけ?土方さんが来たのって総悟が13くらいのときじゃありませんでした?違ったらすみません (2020年2月19日 18時) (レス) id: 436e739fd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:薄良 | 作成日時:2019年5月6日 0時