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拾捌*燭台切光忠 ページ19

しかし、トラウマがあるのは変わらない。

「こんのすけ、明日でいいから。
ここで寝るのはまだオススメしないよ」

「審神者様……お気遣い、痛み入ります」

そう言うと、再び光忠さんの肩へと移動した。


二振りを見送って襖を閉じると、自然と溜息が出た。

やっぱり、この部屋にはあまり入りたくないし、来たくもないのだろう。

『お気遣い、痛み入ります』

そう言ったこんのすけは、酷く安心していたように見えた。

「あ、光忠さんの手入れしてない!!」

私は自室を飛び出すと、光忠の後を追った。

けれど、すぐに分かれ道になっており、どっちに行ったのかが分からなくなる。

絶対に手入れをする…逃がさない!!

ここの本丸の刀は手入れを嫌がっているみたいだが、私は逃がす気はしない。

その時、"何かの気"を感じた。

これは………気配?

その気配を辿っていくと、光忠さんの背中が見えた。

「光忠さん!!」

「え、主??」

駆け寄って行くと、光忠さんは至って普通に待ってくれた。

田嶋からはあまりダメージを受けなかったのかな…。

「手入れ部屋に行きましょう!
知り合った刀を手入れするように決めてるんです!」

「え、でも僕はあまり怪我してないし…」

「じゃあ完治させましょう!
かすり傷一つない体にしましょう!」

「意味は同じだよね…?」


少し躊躇いを感じさせたが、割と素直に来てくれた。

こんのすけは先に部屋に戻ってしまった。

「はい、出来ました」

「ありがとう…」

柔らかく微笑んだ光忠さんはイケメンそのもの。

けれど、その笑顔には少しだけ影があった。

「それじゃあ主、おやすみ。暖かくして寝るんだよ?」

「はい、おやすみなさい」

最後までイケメンだった……。


自室に戻って晩ご飯を食べようと机に向かうと、お盆が一つしかなかった。

「あれ、何で…?」

お腹を空かせた誰かが持ってっちゃったのかな?

その時は特に気にも止めなかった。

拾玖*燭台切光忠2…光忠side→←拾漆*食事と寝床



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作者名:ヒタリ | 作成日時:2018年8月28日 23時

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