【とうらぶ】微力だけど任せてください！！【ブラック本丸】 (ページ20)

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拾玖＊燭台切光忠２…光忠side ページ20

部屋に向かっている間、ずっとカチャカチャと茶碗が鳴っている。

目的の部屋の前に、こんのすけが座っていた。

「考え直して頂けましたか。光忠殿」

「うん、気が変わったから回収してきたよ」

本当は、僕の持っていったご飯には遅効性の毒薬を混ぜてあった。

審神者部屋へ持っていく最中、こんのすけ君はずっと僕を説得していた。

『光忠殿、お止めください。
新しい主は前の主とは全くの別人です。とてもお優しい方です！』

『そうは言っても、君だってまだ信用しきれてないんだろう？それに、前の主だって最初は優しかったんだ』

『光忠殿…！』

『毒を盛られても刃を向けないのか、試したいんだ。
ちゃんと確認したら解毒剤を渡すよ』

『……あの方は、きっとお怒りにならない。
笑って納得されるだけです！』

本当にそうか、試してみたかったのが本音だ。

けれど、手入れをされたときに感じた霊力が僕の闇を包み込むようだった。

受け入れてる。きっと、斬らせてと頼めば聞いてくれるほどに。

「そういえば、主はどうして僕の居場所が分かったんだろう…かなり距離はあったと思うし、分かれ道だって…」

「確かに不思議ですね。まあ審神者様のことです。
"勘で！"とか言いそうですね」

「…こんのすけ君は随分と信用しているんだね」

何が彼をこうさせたのか分からないが、ずっと一緒に行動しているようだし、情が湧いたのかな。

「そうですね……あの方には、前に１度会った気がするんです」

「え？いつの話？」

「分かりません。この本丸で、だった気がします」

随分と不思議なことを言う。

人の子なんて、審神者以外は入らないはず。

「…気を抜くには早すぎるかな」

毒入りのご飯は明日処分するものとして、廊下に置いて部屋に入った。