【成宮】極楽蝶花【鳴】 (ページ9)

今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:23,639 hit

４ページ9

・

「じゃぁ何で振ったのさ? 」

ゆっくり座った鳴。
カルロスがアンパンを頬張るのを見ながら口を尖らせる。

「知らねぇよ! 女心なんて無縁だしよ。
それより、食えよ! 午後の授業、もたねぇぞ?
袋開けんの面倒とか言うなよ? 」

ほら! 手渡したのは、仄かに温かいピザ風の調理パン。

無言で受け取った鳴は、袋を両手引き開けた。

その瞬間、美味しそうなピザソースの香りが
空腹だった事を鳴に思い出させた。

ここ数日、元々みんなに比べると少食の鳴は
更に少食になっていた。

誰もが試合に負けた事のショックからだと思い
気にはしていても、見ない振りをしていた。

「もしかして最近少食なのって、恋の病? 」

見ない振りをしていたのは白河も一緒。
だが疑念を抱いてしまった今、サラリと口に出す。

「そ、そんなんじゃないよ! 」

ばつが悪そうにムキになって言われると
誰もが思うだろう。やっぱ恋の病なんだろう、と。

「解りやす･･････」フンと鼻で笑う白河。

「何で振ったのか、まだ好きなのか
違う誰かを見に来てるのか、それは知らないけど
別れてるんだったら望みはあんじゃない」

白河の意外な発言に
鳴だけでなくカルロスも口をポカリと開けた。

だって白河は背中を押すようなタイプじゃないから。

・