【成宮】極楽蝶花【鳴】 (ページ24)

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鳴の視線に気付いた彼女は
鳴へと顎を上げ、見上げて微笑む。

生娘の様に純粋に、あどけなく
そして気恥ずかしそうに。

「どうして断ったの? 」鳴が首を傾げた。

「･･････。どうしてだろうね? あんな優しい人居ないのに･･････」

優しい人? 鳴は疑念に頬を崩した。

優しいのなら、鳴の名前をフルネームで呼ばない事に対して
何も言わないんじゃないか。

そう思ってしまったからだった。

「優しいの? 」

「優しいよ? 成宮鳴くんは一緒に住んでるんだし
私より解るでしょ? 」

「よっさんが優しいのは知ってるけど、怒るんでしょ？
じゃぁ優しくないじゃん」

初めて対峙した。

目と目が合う。今にも目を反らしたい鳴だが
グッと堪え眉を寄せる。

「怒るって･･････怒鳴ったり叩いたりとかしないよ?
ただ、ちょっと機嫌が悪くなるって言うか･･････」

彼女は眉を下げ、申し訳なさそうに肩を小さく落とした。

「嫌な顔するの? 」聞いた鳴に、コクりと頷く。

恋愛はしたこと無い鳴。

でも、好きな人の口から、他の男の名前が出てきて
快く思わない事だけは解る。

だって、今現に面白くないんだから。

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