【成宮】極楽蝶花【鳴】 (ページ1)

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鳴×原田ページ1

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稲城実業高等学校・敗北

試合に負けた。自信があったのに。

それは、頼れるキャプテンだった原田率いる三年が
抜けてすぐの "秋大会" の事だった。

試合後。
学校に戻った稲城実業野球部員は、グラウンドに集まり
誰が声を掛けた訳でないが自主連に励み始めた。

そんな中、不満そうな表情でベンチに座ったのは
練習着姿の成宮鳴。この物語の主人公だ。

鳴は両手に握ったグラブを自分の左腿の横に置き
大きな溜め息を一つ吐いた。

「そんなブンむくれた顔するくれぇなら
グラウンドに顔出すんじゃねぇよ」

鳴が座ったベンチ。その後ろには先客。
先客は皮肉な笑みを浮かべながら鳴へと声を掛けた。

「別に･･････
むくれてるって言うかぁ、むくれてないって言うかぁ
ただ、悔しいって言うかぁ･･････」

振り返り、先客である原田と対峙した鳴は「あ」
間抜けな声を上げた後で言葉を続けた。

「雅さん今、俺のせいで負けた癖にとか思ったでしょ」

「思ってねぇよ」

「いいや！思ってるね! その顔は絶対に思ってる! 」

対峙した顔を、プイッと反らした鳴には
原田の慰めめいた台詞は、もう･･････
耳に入って居なかった。

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