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9.負けない ページ9

「A、今日は張り切りすぎじゃないか」
「森山先輩、ありがとうございます。でも大丈夫です」
「そうか。なにかあったら言えよ」

はい、と頷くと練習に戻っていった先輩を見送る。確かに、今日の自分は張り切りすぎだと思う。だけど、

「お姉ちゃんが近くにいる。負けたくない」

みなぎる対抗心が今のわたしを支配していた。

***

お姉ちゃんはキセキの世代のマネージャーで、情報収集能力がすごい。それは誰もが認める一種の才能で、右に出るものはいない。

でも、凡人は天才にはなれないけど、達人にはなれる。だから、わたしは並以上の努力をしてここまでやってきた。わたしにしかできない技術だって身に付けた。誰かに認めて欲しければ、それ相応の努力が必要だと思ったから。

「桐皇のマネ超可愛いんだけど」
「試合のときのアトバイスも的確だったよなー。スゲー!」
「海常にはそーいうとこ足りないよな」

だから、大丈夫。

「なんかさ、情報収集能力っていうの?うちのマネも向こうと特技似てるからさ、比べちゃうよな」
「あー、わかる」
「桐皇のマネうちに来て欲しいわ。うちのマネあげるからさー」
「いや、いらねーだろ」
「ははは、お前ヒデー!」

大丈夫。今は我慢だ。

これからの努力で誰よりも信頼を勝ち取っていけば、自分が満足できる自分になれれば、それでいい、と自分に言い聞かせてコートに意識を集中させる。

「ーーーねぇ、Aクン」

しかし、わたしの集中は後ろから聞こえてきた声によって中断されてしまった。

「なに?」

振り向けば、少し不機嫌そうに顔を歪めている黄瀬くんと目が合う。それから手首を掴まれて、顔を近づけられた。

「黄瀬くん?どうしーーー...」
「Aクンにはプライドないの?」

徐々に目を見開くわたしを見て、微かに苦い顔をした黄瀬くん。

「男なら言い返すとかしないんスか。あんな言われて悔しくないの?」
「あの、」
「俺さ、対抗心ないやつって、マジでムカつくんスよ」

吐き捨てるように言われた言葉に、ガツンと頭を殴られたような衝撃を受ける。

「...黄瀬くんになんて何もわかんないよ」

震える声でそう言うと霞んでくる視界。ここで泣いたら迷惑かかる、と、ベンチの上にシャーペンを丁寧に置いてから、すぐさま体育館を飛び出した。

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設定タグ:黒バス , 黄瀬涼太 , 恋愛   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - たくっちさん» コメントありがとうございます〜!! そう言っていただけると嬉しいです! ほんとにありがとうございます!! (2015年12月29日 22時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)
たくっち - めっちゃ良い話じゃないですか。感動しました!これからも感動するような作品よろしくお願いします。応援してます! (2015年12月27日 18時) (レス) id: 14821b434b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 朱いメダカ@ペンタブ禁止令さん» コメントありがとうございます^ ^ そういっていただけると、すごく嬉しいです〜!! ありがとうございます! (2015年5月12日 0時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)
朱いメダカ@ペンタブ禁止令(プロフ) - 今日読み始めて一気に最後まで読んでしまいました!!凄くキュンキュンして泣けて…凄く面白かったです!! (2015年5月11日 23時) (レス) id: edbb06b586 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - にょんさん» コメントありがとうございます^ ^ ほんとですか!? すっごく嬉しいです、ありがとうございます!! (2015年5月7日 23時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2015年2月15日 11時

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