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10.自覚 ページ10

部屋に駆け込んでから、ヘナヘナと床に座り込んだ途端、さっき言われた言葉の数々が浮かんできて、目から涙がポロポロ溢れだした。

「......これ、持って来ちゃった」

無意識に持ってきていたノートを、ペラペラとページをめくれば、細かすぎるくらいにびっしり書かれた自分の文字に、虚しくなって思わず笑みがこぼれる。バカバカしい。こんなもの、いっそ破ってしまいたい。

「ーーーAクン!」

突然部屋に響いた、ドアの開く音と大きな声。驚いて、ドアの方向に顔を向けると、そこには黄瀬くんが立っていた。

「...ちょっ、なにしてんだよ!!」

わたしのことを見た途端血相を変えて近づいてくるや否や、伸びてきた大きな手に叩き飛ばされたノートが開いたまま、すぐそばの床に着地した。どうやら、わたしが本当にノートを破ると思ったらしい。

腕を掴んだまま黙っているのを不思議に思って顔を盗み見れば、黄瀬くんはわたしのノートの中身を凝視していた。それから少しして、頭上から聞こえてきた「ごめん」という小さな声に驚いて顔を上げると、目に飛び込んできた表情に双眸を見開いた。

「黄瀬くん?」
「...Aクン、ごめん」

ーーーなんで黄瀬くんが泣きそうな顔してるの?

やめてよ。その表情につられて、止まっていたはずの涙がまた溢れてくる。すると、頭を優しく撫でられてから、ふいに腕を引かれて引き寄せられた。

「......誰よりも努力してたんスよね。今更だけど、ちゃんとわかったから」

だから泣かないで、ごめんね、とあやすように繰り返し言われる言葉に。ポンポンと背中を叩く一定のリズムに。スンと鼻をすすればふわりと香る甘い香りに。なんだか胸が苦しくなる。

「......黄瀬くん」

ーーー誰かわたしを見て。

簡単な願いのはずなのに、ずっと叶えられなかったわたしのたった一つの願いごとを、黄瀬くんなら叶えてくれるのかな。

好きな人がいるなら、友情でもいい。近くにいれるなら何でもいいから、わたしを一人の人間として見て欲しい。

こんな言葉一つで、自分は本当に単純なやつだと思うけど、今回ばかりはしょうがないと思う。

わたし、黄瀬くんのことが好きかもしれない。

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設定タグ:黒バス , 黄瀬涼太 , 恋愛   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - たくっちさん» コメントありがとうございます〜!! そう言っていただけると嬉しいです! ほんとにありがとうございます!! (2015年12月29日 22時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)
たくっち - めっちゃ良い話じゃないですか。感動しました!これからも感動するような作品よろしくお願いします。応援してます! (2015年12月27日 18時) (レス) id: 14821b434b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 朱いメダカ@ペンタブ禁止令さん» コメントありがとうございます^ ^ そういっていただけると、すごく嬉しいです〜!! ありがとうございます! (2015年5月12日 0時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)
朱いメダカ@ペンタブ禁止令(プロフ) - 今日読み始めて一気に最後まで読んでしまいました!!凄くキュンキュンして泣けて…凄く面白かったです!! (2015年5月11日 23時) (レス) id: edbb06b586 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - にょんさん» コメントありがとうございます^ ^ ほんとですか!? すっごく嬉しいです、ありがとうございます!! (2015年5月7日 23時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2015年2月15日 11時

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