25.導き出した答え ページ25
「...もういい」
自分の口から出た冷たい声に驚いた。だけど、龍也先輩の言葉に今はいつもみたいに冷静に考えられなくて。いつもはコントロール出来てるはずなのに、感情が暴走して次々に言葉が出てくる。
「...みんなが春ちゃんのこと本当に大好きなんだなってわかったよ」
「わ、悪いA。別にそういう訳じゃ...」
「そういうことでしょ。...わたしがバカだったね。どうやったら認めてもらえるかなんて考えるだけ無駄だった」
...そうだよ。みんなと仲良くなれても、所詮は作曲家としてなんか認められてなかった。"友達"としてみんな接してくれてただけ。どんなにこれから努力しても、きっと彼らの一番は変わらない。
「だったら春ちゃんにST☆RISHの曲も作曲してもらいなよ。わたしだって、こんなところより...」
「ちょっとAちゃん！ダメよ！」
「必要だって言ってくれる人たちのところに行くから」
"友達"としてより、"作曲家"として認めてくれる人たちのところに行く。それなら、売れるとか認めてもらうとか今より考えなくて済む。
なにより、みんなに迷惑かけなくて済む。
「もう疲れたんだよ。わたしがここにいるより、ナギくんたちといる方がみんなにとってもいいんでしょ？」
「ナギってHE★VENSの...？」
「そうだよ。これからは別な事務所のライバルになっちゃうね。...今度こそもうどこかで会ったとしても話しかけないよ」
「！」
これは、嶺ちゃんへのわたしなりの精一杯の仕返しのつもり。我ながら子供染みてると思うけど、作曲家変更するって相談なしに勝手に決めた嶺ちゃんに仕返ししたかったから。だから、いつかの嶺ちゃんに言われた言葉をそのまま返した。
「...嘘、でしょ」
「嘘じゃないよ。...じゃあ、失礼します」
それに、いつまでも敵わない相手を思ってる自分にそれなりのけじめをつけたつもり。今は無理かもしれないけど、会ったり話したりしなくなれば、いつかきっとこの気持ちも忘れられるはずだから。
だからごめんね。これくらい許してよ。
「Aちゃん！」
結局ナギくんの言った通り、自分から連絡することになっちゃったな。
自分を必要だと言ってくれた子の連絡先が入ったスマホを握りしめて、急いで部屋に戻った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 80人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ユリア(プロフ) - 環様、お話読ませていただきました！主人公と嶺ちゃんの関係性がどんどん変わっていってどうなるか分からず、ドキドキしました❤これからも応援してます(^▽^)/ (2023年3月20日 18時) (
レス) @page29 id: 4dc59746f6 (このIDを非表示/違反報告)
環(プロフ) - 朝倉ひなさん» 朝倉ひなさん！ そうだったんですね......（ ; ; ） そんな言葉を言ってくれる人が身近にいるなんて羨ましいです！！（笑） 心のこもったあたたかいコメントありがとうございます^ ^ とても幸せな気持ちになりました！！ (2017年10月16日 22時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)
朝倉ひな - だから、嶺ちゃんに、君が必要、と言われた夢主ちゃんは、そこに存在意義を感じただろうし、それが何よりも幸せだと思います。こんなにも共感でき、メッセージ性のある夢小説を読むのは久しぶりです。これからも頑張ってください！ (2017年10月16日 21時) (レス) id: 35a6a0831a (このIDを非表示/違反報告)
朝倉ひな - 泣けちゃいました。私もすごく似たような立場だったので。ずっと私は、必要とされていないと思ってたんです。でも、ある人に、顔とか性格とかも好きだけど、お前を好きになった理由の一番はお前だったから、と言われて、泣きそうになりました。 (2017年10月16日 21時) (レス) id: 35a6a0831a (このIDを非表示/違反報告)
環(プロフ) - コメントありがとうございます！ そして返信遅くなってすみません！ 私も努力家の女の子の方が応援したくなるし、素敵だなって思います、、！！ 今回は春ちゃんが悪者っぽくなってしまいましたが、次に機会があれば春ちゃんの良い場面も書いていけたらと思ってます！ (2017年10月8日 23時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：環 | 作成日時：2014年4月25日 18時
