19.君なのに ページ19
嶺二side
「...嶺ちゃん」
シャイニーさんにここで待つように言われてしばらく待っていると、部屋に入ってきたのはシャイニーさんではなくAちゃんだった。...あれ？なんだかすごく怒ってるみたい。
そしてこちらへ、ズカズカ歩いて来ると目の前に来てからピタリと止まった。
「Aちゃ...」
その剣幕にびっくりして口を開きかけた瞬間、頬に鋭い痛みが走った。
─── え？もしかして今、殴られた？
「...馬鹿じゃないの？」
そっと顔を上げると目に入ったのは、目に涙をいっぱいに溜めているいるAちゃんで。
「QUARTET☆NIGHTを辞めるって本当？」
「まぁね。ぼくがいるとこれからたくさんみんなに迷惑かけちゃうしさ、だから...」
エヘヘ、と苦笑いを浮かべてそう言えば、Aちゃんは表情一つ変えず泣きそうな顔でじっとぼくを見ていた。
「じゃあ、辞めなよ」
「...え？」
まさかAちゃんがそんなこと言うなんて思わなくて、思わず間抜けな声が出ちゃったよ。...止めると思ったのに。
「それでファンも残されたメンバーも後輩たちも、嶺ちゃん自身も幸せになれるなら辞めればいいんじゃない？」
「...Aちゃん」
「...ねぇ、わかってるの？自分のこと大切にしないなんて、自分のこと支えてくれてる人のこと大切にしないのと同じことだよ！」
その言葉がグサリと胸に突き刺さって泣きそうになる。
「言っておくけど、わたしはそんな自分のこと傷つける嶺ちゃん見てて幸せじゃないから」
「ま、待って！」
僕は、そう言って部屋から出て行こうとするAちゃんの腕を無意識に掴んでいた。
だって、気付いちゃったんだ。
こんなの今更だけど、ぼくはなんてひどいことをAちゃんにしてしまったんだろうって。
ぼくは逃げてたんだ。好きな子が自分のせいで傷付くのが怖くて、いかにも相手のことを考えてるように振る舞ってた。だけど、結局は自分のことを守ってたんだ。
「...Aちゃん聞いて」
君はぼくのことどうも思ってないと思うけど、だけど週刊誌のことは違うんだってことだけは伝えたくて。僕は後輩ちゃんのことが好きなんじゃないって伝えたくて。
「週刊誌のことは、ぼくは...」
「別に嶺ちゃんの人生なんだからいいんじゃない？...春ちゃんとお幸せにね」
ぼくの言葉を遮るようにそう言うと、逃げるように部屋から出て行ってしまったAちゃん。
...ねぇ。
君にこの気持ちを伝えても、もう遅いのかな。
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ユリア(プロフ) - 環様、お話読ませていただきました！主人公と嶺ちゃんの関係性がどんどん変わっていってどうなるか分からず、ドキドキしました❤これからも応援してます(^▽^)/ (2023年3月20日 18時) (
レス) @page29 id: 4dc59746f6 (このIDを非表示/違反報告)
環(プロフ) - 朝倉ひなさん» 朝倉ひなさん！ そうだったんですね......（ ; ; ） そんな言葉を言ってくれる人が身近にいるなんて羨ましいです！！（笑） 心のこもったあたたかいコメントありがとうございます^ ^ とても幸せな気持ちになりました！！ (2017年10月16日 22時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)
朝倉ひな - だから、嶺ちゃんに、君が必要、と言われた夢主ちゃんは、そこに存在意義を感じただろうし、それが何よりも幸せだと思います。こんなにも共感でき、メッセージ性のある夢小説を読むのは久しぶりです。これからも頑張ってください！ (2017年10月16日 21時) (レス) id: 35a6a0831a (このIDを非表示/違反報告)
朝倉ひな - 泣けちゃいました。私もすごく似たような立場だったので。ずっと私は、必要とされていないと思ってたんです。でも、ある人に、顔とか性格とかも好きだけど、お前を好きになった理由の一番はお前だったから、と言われて、泣きそうになりました。 (2017年10月16日 21時) (レス) id: 35a6a0831a (このIDを非表示/違反報告)
環(プロフ) - コメントありがとうございます！ そして返信遅くなってすみません！ 私も努力家の女の子の方が応援したくなるし、素敵だなって思います、、！！ 今回は春ちゃんが悪者っぽくなってしまいましたが、次に機会があれば春ちゃんの良い場面も書いていけたらと思ってます！ (2017年10月8日 23時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：環 | 作成日時：2014年4月25日 18時
