12.今日だけは ページ12
「よろしくお願いします」
「...よろしくお願い、します」
「...よろしく」
次の日の朝。
改めて新しく担当するST☆RISHのみんなに頭を下げる。そして、ゆっくりと顔を上げたときのみんなの反応は予想通りだった。...まぁ、そんなところだと思う。
今回の交換するっていうのがいきなりだったってこともあるけど。それ以前に、前の専属作曲家が春ちゃんという可愛くて天才という完璧な子だったから、わたしみたいなのに交換されるなんて不満で当たり前だ。それに、最初から歓迎されるなんて思ってない。
一応これでもQUARTET☆NIGHTの専属作曲家やってたんだから、と、胸を張ろうにもみんなに拒否されてここに来たわけで。...本当にST☆RISHのみんなには申し訳ないの一言に尽きる。
「...ごめん。不満あると思うけど精一杯やるから」
「いや、別にそういうわけじゃ...」
「Aちゃん...」
緊張して震える声でそう言うと、急いでその場を後にした。
ーーーーーーーーーーーー
ダメだよこんなのらしくない！もっとポジティブに行かなきゃ！
ホールから出て、誰もいない廊下で大きく一人で頷きながら勢いよく歩いていると、廊下の角を曲った瞬間誰かにぶつかってしまった。
あーもう。今日はとことん色んな人に迷惑をかけちゃうな。
「ご、ごめんさい！ちょっと下向いてて...」
「Aちゃん...」
................え？
その声にゆっくり顔を上げると、目の前にいたのはバツの悪そうな顔をした嶺ちゃんで。
「れ、嶺ちゃん？」
会えて嬉しい気持ちと、相談もないまま勝手に春ちゃんと交換させられたイライラする気持ちが入り混じってなかなか言葉が出ない。
「...ごめんね」
ポツリと呟いた言葉に思わず目を見開く。...なんでそんな泣きそうな顔してるの？
じっとみていると嶺ちゃんはふいにすごく真剣な顔になって、それからゆっくりと口を開いた。
「昨日からぼくたちの作曲家はキミじゃない」
「...え、嶺ちゃん？」
「もうこれからはあまり話しかけないから」
「ま、待ってよ！」
...目も合わせてくれないんだ。
通り過ぎたときに見えた冷たい横顔に、思わず腕を掴もうとした手を下ろしてしまった。
やっぱり嫌いになっちゃったんだ。わたしそんなに悪い子だった？...そんなに春ちゃんの方がいいのかな。
「........ひっ...くっ...」
嶺ちゃん、胸が苦しいよ。
いつもは我慢してる涙は、今だけは許されるような気がした。
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ユリア(プロフ) - 環様、お話読ませていただきました！主人公と嶺ちゃんの関係性がどんどん変わっていってどうなるか分からず、ドキドキしました❤これからも応援してます(^▽^)/ (2023年3月20日 18時) (
レス) @page29 id: 4dc59746f6 (このIDを非表示/違反報告)
環(プロフ) - 朝倉ひなさん» 朝倉ひなさん！ そうだったんですね......（ ; ; ） そんな言葉を言ってくれる人が身近にいるなんて羨ましいです！！（笑） 心のこもったあたたかいコメントありがとうございます^ ^ とても幸せな気持ちになりました！！ (2017年10月16日 22時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)
朝倉ひな - だから、嶺ちゃんに、君が必要、と言われた夢主ちゃんは、そこに存在意義を感じただろうし、それが何よりも幸せだと思います。こんなにも共感でき、メッセージ性のある夢小説を読むのは久しぶりです。これからも頑張ってください！ (2017年10月16日 21時) (レス) id: 35a6a0831a (このIDを非表示/違反報告)
朝倉ひな - 泣けちゃいました。私もすごく似たような立場だったので。ずっと私は、必要とされていないと思ってたんです。でも、ある人に、顔とか性格とかも好きだけど、お前を好きになった理由の一番はお前だったから、と言われて、泣きそうになりました。 (2017年10月16日 21時) (レス) id: 35a6a0831a (このIDを非表示/違反報告)
環(プロフ) - コメントありがとうございます！ そして返信遅くなってすみません！ 私も努力家の女の子の方が応援したくなるし、素敵だなって思います、、！！ 今回は春ちゃんが悪者っぽくなってしまいましたが、次に機会があれば春ちゃんの良い場面も書いていけたらと思ってます！ (2017年10月8日 23時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：環 | 作成日時：2014年4月25日 18時
