11.決まったこと ページ11
「...はい？」
「だから、お前はこっちだ」
「ちょっと意味わからないんですけど」
「察しろ」
「無理です。言ってる意味がわかりません」
わたしは、ただ仕事が終わって帰ろうとしたはずなのに。
なぜか林檎先輩に怪しい車の前に連れてこられたと思ったら、今度は龍也先輩がさっきからこの調子で意味深な言葉で話しかけてくる。...なにこれ。こわいんだけど。
「じゃあ、はっきり言うぞ。...いいんだな？」
やけに念を押すんだなと、不思議に思いつつもとりあげず早く帰りたい気持ちが強くて、何度も頭を縦に振って頷く。すると、少し間をおいてから先輩がゆっくりと口を開いた。
「今日からお前と七海春歌はお互いの担当を交換することになった」
「え？えと、それってつまり...」
「お前はQUARTET☆NIGHTの専属作曲家からST☆RISHの専属作曲家になったってことだ」
「はぁああああああ！？」
通りすぎる人が驚いたようにわたしの顔を覗き込んでくるけど、そんなの今はどうだっていい。とにかく今の状況を頭で整理するのに精一杯で。
えっと、QUARTET☆NIGHTの専属作曲家じゃなくなるってことは、もうみんなといつもみたいに仲良く出来なくなるってことだよね...？じゃ、じゃあ、嶺ちゃんともあまり話したり出来なくなる...？
「そんなのやだやだやだ！絶対やだーーーっ！」
「だからもう決まったことなんだって！それに、寮は変わらず一緒じゃねぇか」
そういうことじゃないんだってば。
それに、もう決まったことって言われても、そんなの簡単に割りきれるわけないじゃん！デビューからずっと一緒に頑張ってきた仲間なのに。
そう、みんなだってきっと...。
「そうだよ！みんなは？みんなはなんて言ってるの？」
「戸惑うもなにも、交換しようって言ってきたの嶺二だしな」
「...............え」
わたしが問いただすようにそう聞くと、返ってきた言葉に思わず言葉を失った。
「う、嘘でしょ...」
嶺ちゃんが変えようって言ったの？
仲間って思ってたのはわたしだけ？
もしかして、みんなわたしの曲歌うの嫌だったのかな。
「まぁ、そういうことだ。...寮まで送るから乗れよ」
いきなり黙り込んだ龍也さんはそう言ってわたしの肩をポンと叩くと、車に乗るように促した。
...そういうことなら。みんなが嫌なら、わたしに拒否権なんかあるわけない。
これからは一人のファンとしてみんなのこと応援しよう。
そう一人で納得して、そのまま車に乗りこんだ。
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ユリア(プロフ) - 環様、お話読ませていただきました！主人公と嶺ちゃんの関係性がどんどん変わっていってどうなるか分からず、ドキドキしました❤これからも応援してます(^▽^)/ (2023年3月20日 18時) (
レス) @page29 id: 4dc59746f6 (このIDを非表示/違反報告)
環(プロフ) - 朝倉ひなさん» 朝倉ひなさん！ そうだったんですね......（ ; ; ） そんな言葉を言ってくれる人が身近にいるなんて羨ましいです！！（笑） 心のこもったあたたかいコメントありがとうございます^ ^ とても幸せな気持ちになりました！！ (2017年10月16日 22時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)
朝倉ひな - だから、嶺ちゃんに、君が必要、と言われた夢主ちゃんは、そこに存在意義を感じただろうし、それが何よりも幸せだと思います。こんなにも共感でき、メッセージ性のある夢小説を読むのは久しぶりです。これからも頑張ってください！ (2017年10月16日 21時) (レス) id: 35a6a0831a (このIDを非表示/違反報告)
朝倉ひな - 泣けちゃいました。私もすごく似たような立場だったので。ずっと私は、必要とされていないと思ってたんです。でも、ある人に、顔とか性格とかも好きだけど、お前を好きになった理由の一番はお前だったから、と言われて、泣きそうになりました。 (2017年10月16日 21時) (レス) id: 35a6a0831a (このIDを非表示/違反報告)
環(プロフ) - コメントありがとうございます！ そして返信遅くなってすみません！ 私も努力家の女の子の方が応援したくなるし、素敵だなって思います、、！！ 今回は春ちゃんが悪者っぽくなってしまいましたが、次に機会があれば春ちゃんの良い場面も書いていけたらと思ってます！ (2017年10月8日 23時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：環 | 作成日時：2014年4月25日 18時
