気まぐれ:センラ ページ28
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「うっわぁぁぁ…。」
思わず声が漏れる。え、雨すごすぎない?台風来るのは知ってたけど、ここまで凄いとは…。地面に雨が叩きつけられてる。
「あほみたいやで、そうやって口開けとったら。」
「んな…!」
窓に手をくっつけて、ぽかんと口を開けているからそりゃああほに見えるかもしれないけど、この同期はドストレートすぎる。もう少し、オブラートに包んでほしい。
「ていうか、何でまだおるん?」
君、営業とちゃうから帰ったんとちゃうん?と心底不思議そうな顔をされた。
「…途中で忘れ物に気付いて、取りに戻ったんだけど、電車が止まっちゃって。」
あはは、と笑うとうわぁ…というような目で見られた。ええ、ええ、どうせあほですよ。そんな顔するならいっそ、バッサリ言ってほしい。
「しゃーないから、送ってあげますわ。」
「…は?」
「さっきよりあほ面。ほら、行くで。」
クスクスと笑われながら荷物持った?と聞かれて咄嗟に持った、と返事をする。え?おく…?
助手席に乗り込み、カバンを膝の上で抱える。…何だかんだ、こうやって2人でいるのって初めてじゃない?
「どの辺?家。」
「あ、えっと…、」
おおまかな住所を告げるとその辺ならわかるわ、と車を走らせる。流石は営業…。
「なん、で送ってくれたりなんか…。」
「あのままほっといたら、あのまま泊まりそうやし。俺の気まぐれ。」
「ありがと。」
「今度、昼飯奢って。」
「え、お礼は指定なの?」
何か、今ので感謝の気持ちがどこかへ行った…。まあ、いいか。タクシーで帰るよりは確実に安いんだし。
「分かった、美味しいお店探しとく。」
「楽しみにしときますわ。雨音うるさいし、何か歌って。」
「え、無理。むしろ、そっちが歌ってよ。」
「えー…俺めっちゃ歌上手いけど惚れんといてな?」
「あ、じゃあいいです。上手いっていう人上手くないこと多いし。」
「はあ?」
台風と気まぐれ。
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蒼(プロフ) - ゆきさん» ありがとうございます!!好きだと言っていただけてテンション上がってます!ゆきさんもお身体にはお気をつけてくださいね! (2018年12月3日 8時) (レス) id: 6ff2611221 (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - スイ(さぶ)さん» 分かりました。坂田さんですね!せっめいありがとうございます、助かります。早めに書き上げられるよう頑張ります! (2018年12月3日 8時) (レス) id: 6ff2611221 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - こういう短編好きです…!!(ほとんどコメントしたこと無いので、ちゃんとした日本語になってるか心配です) 読んでて楽しいので、次も楽しみにしてます!! 寒くなってきてるので、お身体には充分お気をつけください…!応援してます!! (2018年12月2日 18時) (レス) id: e3b7ecda00 (このIDを非表示/違反報告)
スイ(さぶ)(プロフ) - ありがとうございます!!坂田さんで、試験前の勉強会をしてて途中で告白する…みたいなのって可能でしょうか…。語彙力なくてすみません。幼馴染だとかの設定は作者様が書きやすいようにして頂いて全然大丈夫です!よければお願いします… (2018年12月2日 0時) (レス) id: 9fca0c060a (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - スイ(さぶ)さん» 楽しんでいただけて凄く嬉しいです!ぜひぜひお楽しみください(あってるのか?)リクエスト嬉しいです、いつでも受け付けております!お待ちしています。 (2018年11月29日 22時) (レス) id: 6ff2611221 (このIDを非表示/違反報告)
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