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#126『燃え尽き症候群』 ページ40

「皆さん、軍警からの報告です」


敦は語勢を強くした。

「組合壊滅後、その遺産を狙った海外犯罪組織が流入しているようです」


「どうせ、退屈な連中だろう?」


敦が浮かない顔をし、下を向いた。。


「ですが僕も昨日この近くで組合の残党を見たんです」


敦の脳内には組合の残党――――――ルーシー・モンゴメリの姿が映し出された。


「逃げられましたけど・・・・・・ 彼女、金属の箱を持っていました」


「成程、中島さんにはそれが爆発物に見えたと」


朔は外の風景を見ながら言った。


「はい。探偵社に復習の為、犯罪組織と手を組んだのでは無いかと・・・・・・」


「じゃあ、この店も危ないかねえ?」


おばちゃんは心配そうに声を上げた。


「危険は、珈琲の苦味と同じです」


その時、今まで一言も喋っていなかったうずまきの店長が口を開いた。

口元に微かな笑みを浮かべ、静かに珈琲をコップに注いだ。
肝が座っているのか、とても落ち着いている。

朔は探偵社にも落ち着きのある人が増えて欲しいものだ、と国木田がこの前言っていたのを思い出した。


「覚悟ある者にとっては・・・・・・それもまた風味」

店長は優しい手つきで珈琲カップをテーブルに置いた。


「流石店長、渋い! 珈琲一筋三十年」


「石鹸を使っても手から珈琲の匂いが取れない男!」


「他に特技が・・・・・・ありませんから」


社員からの野次を交わしながら店長は謙遜した。


「渋い! 不器用系伊達男」

敦はその様子を諦めの目で見ていた。

「皆さん! 聞いてくださいよ〜」


「中島さん」


朔が敦の肩に手を置いた。

「諦めて下さい」


その言葉に敦はガックリと項垂れ、結局太宰達と同じく、うずまきに居座るのだ。




―――――――――――――




「よく考えたのだけれど」


太宰達はいつもの様にうずまきに行く為、探偵社の階段を降りていた。


「1回にこんなに(くつろ)げる店があるのが悪いのでは?」


「それは、別に貴方が仕事をしない言い訳にはなりませんよ」


と朔も言いながら、階段を降りていた。

敦は苦笑いしながらいつもの様にドアを開けた。

ドアを開け、入ろうとしたうずまきは豹変していた。


窓ガラスは粉々に砕け散り、椅子はひっくり返っている。

明るく、暖かい雰囲気は無く、ホラー映画でよく映る廃墟と化していた。

太宰達はうずまきの中に駆け込んだ。

机の下からおばちゃんが這い出してきた。その顔は恐怖に染っていた。

#127『本気』→←#125『うずまき』



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飛沫(プロフ) - hurukawaさん» いえいえ、すみません。是非最後まで見てください。 (2021年1月15日 18時) (レス) id: 06a707eb14 (このIDを非表示/違反報告)
hurukawa - 見れました!ありがとうございます! (2021年1月15日 18時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
飛沫(プロフ) - hurukawaさん» ご指摘ありがとうございます。こちらの不手際で非公開になっておりましたので、それを解除しました。見れるようになれたと思います。すみませんでした。 (2021年1月15日 18時) (レス) id: 06a707eb14 (このIDを非表示/違反報告)
hurukawa - #96がないです (2021年1月15日 17時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛沫 | 作成日時:2020年3月16日 15時

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