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#96『君は何故泣いている?』 ページ11

「では太宰くん、マフィア幹部に戻る勧誘話は未だ生きているからね。あと、朔君も是非勧誘するよ」



森は太宰と隣に居る朔に目を向けた。



「真逆、抑私をマフィアから追放したのは貴方でしょう」




「君は自分の意志で辞めたのでは無かったのかね?」




森は心外だという声を出した。




「森さんは恐れたのでしょう? いつか私が首領の座を狙って貴方の喉笛を掻き切るのではと。嘗て貴方が先代にしたように。

鬼は他者のうちにも鬼を見る私も貴方と組むなど反対です」




太宰は嫌らしい程の笑みを浮かべた。




「僕もお断りします」


朔は顔に満面の笑を浮かべた。


・・・・・・僕の居場所は『死の家の鼠』だけですから。




ーーーーーーーーー


朔は小型端末機を手に持ちながら久作が監 禁されている場所に向かっていた。
場所は先日ナオミたちが組合襲われた場所から少し離れた小屋だ。



朔は久作にこっそり発信機をしかけていたのだ。
敦が攻撃してくるどさくさに紛れて。




小屋の内外……驚くほど静かだ。静謐な空気が漂っている。



朔は地下に続く階段を降りた。気配は自分を含め二人のみ。

もう一つの気配は寝ているのか心音は穏やかだ。




朔は地下の部屋に入った。そこに居たのはスタインベックの異能で拘束されている……夢野久作だった。

頬には泣いたのか涙の筋がある。



まだ、齢十三歳の少年だ。




「哀れな忌み子ですか……久作さん」




朔の声に久作は目を開けた。
目の前にいるのは自分を拘束した者では無く、別の人だった。




「お兄さん誰?」




その言葉に朔は苦笑いを零し、久作を見た。



「萩原朔。武装探偵社社員です」



「朔兄さん?」




性別的には姉さんだが、別に悪い気はしない。


その時久作が顔を顰めた。



「痛い」



「ごめんなさい。もう少し耐えて下さい。僕は今木の枝を切るものを持ち合わせていません」




朔は自身の脇差を置いてきてしまったのだ。
太宰と中也が何れ来るから。



「・・・・・・大丈夫」




久作は笑った。



朔は傍にあった人形が置いてある椅子に人形を抱え座った。




「君は・・・・・・何故泣いていたのですか?」

#97『堕ちた天使』→←#95『YES or NO』



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飛沫(プロフ) - hurukawaさん» いえいえ、すみません。是非最後まで見てください。 (2021年1月15日 18時) (レス) id: 06a707eb14 (このIDを非表示/違反報告)
hurukawa - 見れました!ありがとうございます! (2021年1月15日 18時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
飛沫(プロフ) - hurukawaさん» ご指摘ありがとうございます。こちらの不手際で非公開になっておりましたので、それを解除しました。見れるようになれたと思います。すみませんでした。 (2021年1月15日 18時) (レス) id: 06a707eb14 (このIDを非表示/違反報告)
hurukawa - #96がないです (2021年1月15日 17時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛沫 | 作成日時:2020年3月16日 15時

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