【薄桜鬼】めったに咲かない花＿僕らと君の満月日＿ (ページ15)

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草花がザッと音を立てる

誰かが歩く音がした。

慌てて、寝転がっていた身体を起こす

なんだろう、と足音のする方に
顔を向ける

「……え…？」

そこには

大きな傷から小さな傷をたくさん背負いながらも

ゆっくり歩く

あの人がいた

「＿＿＿＿＿＿っ……」

今にも倒れそうな…その人は、

苦しそうに表情をしかめた

「……姉さん！…」

いつから姉さんと
呼ぶようになったんだっけ

いつも励ましてくれるあの人が、

いつも苦しい時に励ましてくれるあの人が、

他人とは思えないほど良くしてく
れるあの人が、

いつしか俺には「姉さん」と感じるようになった

いや、もしかしたら姉さん以上の存在なのかもしれない

心の支えそのものだから

「＿＿＿＿＿！！」

駆け寄ると、

姉さんは驚いた様子で俺を見た

「どうしたのその傷！！」

右の額から右目を通って頬にかけて

一筋の傷

とても深い傷だ

もしかしてこのまま、

右目が見えなくなってしまうんじゃ…

なのに、

苦しそうな顔を一つも見せずに

いつものような、

あの優しい笑顔を

俺に向けた

「なぁ、どうしたんだよっ！誰かにやられたのかっ」

「………」

喋ろうとしない姉さん

なんで…

俺じゃ頼れないのか？

自分はまだ子供だから…？

痛そうなのに。

さっきまで苦しそうにしてたのに。

なんで笑っているの…？

「………」

微笑みを崩さずに、

俺の頭に手を置く

「……痛いなら言ってよ…」

まるで「気にしないで」と言われているように

頭を撫でられる

「……姉さん…」

いつも、自分が頼りにしてるなら

自分も頼りにして欲しい