【おそ松さん】松野カラ松の家庭の事情

４０話：君のためなら、俺はなんだってできる ページ44

「ど…して？」


「あの日――。立ち去る君の姿が、とても悲しげだったからさ。
それなのに…私のことは忘れて幸せになれ？
そんなこと、俺にはできない。だって君を…世界中の誰よりも愛しているから」


そうだ、俺は…愛しているんだ、君を。

この気持ちは、おそ松にだって負けない。


だからこそ、君を苦しめるもの全てから、君を守りたいと強く願う。



たったひとり、暗闇の中で、辛い思いを胸に押し込まず…俺に打ち明けて欲しかった。


まあ、俺はニートだし、誇れるようなものは何もなくて…頼りないだろうけど。



それでも、俺は、君のためならなんだってできる。


君のことが…大切だから。




それに、さ？

君は、もっと周りにいる人達を頼るべきだよ。

花音ちゃんも、それを望んでいたんだ。



何でも、自分一人で背負って、我慢するのではなくて。

差し伸べられた手を、掴んだっていいんだ。





俺は、一言一言に想いをこめて言葉を紡ぐ。

そして――


「…っ。うっ。ひっく…」



ずっと抑えてきたものが、とうとう堪え切れなくなって

彼女が、俺の腕の中へと飛び込んできた。

その小さな身体をそっと抱き締めると、呟くように『ごめんなさい』と何度も繰り返す彼女



瞬間――

俺は、随分昔のことを、なぜだか急に思い出した。

それは、

『泣くのを必死に我慢している小さな女の子』


それと今の君の姿が、今、ぴったりと重なった。





ああ、なんて愛しいんだ。
これは、運命だ。君こそが、俺のデスティニー。

今度こそ、君を守って見せる――




高まる感情に身を任せ、


彼女の顎をそっと持ち上げると、俺はその唇に――キスを落とした。

４1話：それぞれの想いはひとつに→←３９話：俺ってカリレジェだよね？誰かそうだと言ってぇ！

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