【東京喰種】目が覚めると腰から何か生えてた話、第2部 (ページ4)

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「おはよう」

マンションを出ると、目の前には平然と白い死神がいた。

お車に乗って。

『いや、おはようじゃないですよ』

私の家から本局までは少し歩く程度で住むため、たくさんの職員や捜査官が住んでいる。

有馬さんがここに路駐している姿を見て、驚いて行ったに違いない。

「乗って」

『はあ…』

拒否権は無いだろうから、大人しく従った。
ドリンクホルダーにはコンビニのコーヒーが置いてあり、車内も少し苦い香りがする。

てか有馬さん、コンビニ行くんだ。

「一人じゃ入り辛いだろう」

『え、ええ…まあ』

濁しはしたが、実際のところ布団から出たくなくて、ギリギリまで粘っていた。

朝ごはんも食べていないから、少し腹が減った。

食堂、行かなきゃ。

「腹は減ったか」

『それなりに、です』

私の返答に、有馬さんは少し間をおいてからそうか、とだけ言った。

本局はあっという間についた。

どっと心臓が重くなる。

車から降り、私は有馬さんの後ろに隠れるように中へ入った。

出勤時間のため、ロビーには沢山の人、人、人。

その大半の視線は私に注がれていた。

それは廊下でもそうだった。

0番隊の執務室は遠い。
だらこそ、だんだん縮まるその距離が何よりも怖かった。

宇井さん。

私のこと、どう思っているんだろう。

ついに扉は目の前まで来た。

「おはよう」

有馬さんは容赦なく開ける。
そりゃ、ためらう理由は私だけしかない。

それでも、扉の先…一歩を踏み出せずにいた。

「どうした」

『い、え…』

執務室は相変わらず汚かった。

でも、そこに人の姿は無い。

「ニイヨン明けだから」

『じゃあ、有馬さんは…』

「今から局長のところへ行く」

もちろん、それは私の件だろう。

唯一片付いているデスクに鞄を起き、すぐに執務室を出た。