無題９ ページ9
私の班からも負傷者と死者が出た。
今年、入局したての子を守って、織田さんが亡くなった。
ブラッディレディは単体の喰種ではなかった。
今までずっと単体だと思い込んでいた。
今日確認しただけでも50体を引き連れていた。
その中にはSレートであろう喰種もいた。
死体を拾い集める。
これは指、これは太もも。
いくつものパーツには、ほんの30分前には生命反応があったのに。
各パーツはすごく重みを感じる。
これが生きていたのか、と。
拾い集めてはトラックに乗せる。
これが誰の物かなんて私にはわからないし、きっと運ぶ人もわからない。
それでも何も言わずに作業をすすめるのは、同情なのだろうか。
宇井「藍澤上等。包帯を分けてもらっても…」
A「ああ、いいよ」
ゴム手袋を外し、バッグの中から新品の包帯を渡す。
私は自分の手当や人の手当なんかしないから、基本支給される包帯は新品のまま。
宇井「それ…誰の耳？」
A「わからない。持ち帰ってDNA検査して、体の持ち主を探すの。腐敗する前に」
宇井「そう、なんだ」
コオリちゃんは持ち場に戻った。
私も、ゴム手袋をつけなおして、落ちてるパーツを拾い集める。
一つ、見覚えのある左手がある。
手首から切られてる、特徴的な赫子痕は鱗赫。
その手のひらには特徴的なほくろと、薬指には指輪。
指や手のひらのたこ、間違えない。
A「佐渡さん……」
ずっと見てきた。
この人の背中を追っていた。
私はカラーテープを手の甲に貼り、「佐渡」と書いた。
これですぐに体とくっつけられるだろう。
私はそれを持って、トラックのところまで行った。
身元がわかってるパーツは別の籠に入れる。
その周りには泣きながらパーツを抱きしめる捜査官がたくさんいた。
◆◇◆
葬儀も終わり、またいつもの日常が戻ってきた。
大抵、新人はこのあたりで辞職する。
あの悲惨な光景を目の当たりにすると、仕事ができなくなる。
うちの班の人も、今日辞職願が受理された。
宇井「大丈夫？」
A「大丈夫じゃないさ。辞職願を受理するのは躊躇っちゃった」
宇井「でも判を押したんでしょ？」
A「いつまでも止めるわけには行かないからね」
宇井「上等、無理はしないで」
コオリちゃんは悲しそうに俯いた。
コオリちゃんも辛いだろうに。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 66人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まる - 最高です！！！ (2017年9月11日 2時) (
レス) id: 0af8a34735 (このIDを非表示/違反報告)
果林(プロフ) - もうせつないし郡さん大好きだしつらいです…。更新頑張ってください！ (2017年9月7日 23時) (レス) id: 9802811aec (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ - コオリちゃん尊い....！この作品最高です！！！更新頑張ってください！！楽しみに待ってます！ι(´∀`)/ (2017年9月3日 22時) (レス) id: 242ab48235 (このIDを非表示/違反報告)
狐面少女(プロフ) - コメ有難うございました！漫画でもコオリちゃんが見たいですよね！更新がんばります！ (2017年8月31日 21時) (レス) id: 1eb513d048 (このIDを非表示/違反報告)
倫(プロフ) - うわあ大量更新ありがとうございます！最近の宇井さんは目も当てられないくらい可哀想なのでここのコオリちゃんに癒されてます…！これからも楽しみにしてます(´`* (2017年8月26日 21時) (レス) id: 461a7ad2da (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：狐面少女 | 作成日時：2017年8月18日 1時
