◇真田俊平・弟◇ ページ10
*ミーナさんリクエスト*
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「しゅーんぺーい」
「姉ちゃん?」
「お弁当届けに来たー」
「え、まじで?サンキュ」
日曜日、毎日毎日飽きもせず部活に向かう我が弟のために、忘れていたお弁当を届けに学校に来た。
ちょうど休憩していたらしい俊平に向かってお弁当をかざせばダッシュで駆け寄ってきた。
「せっかくお母様が作ってくれたのに忘れていくなんて…」
「申し訳ない」
「お姉様に感謝しなさいよー?」
「ありがとうございまーす」
俊平は適当に頭を下げると私の手からお弁当の袋を受け取る。
「じゃ、私帰るね」と言いかけて踵を返そうとすると私のことをじーっと見ている三人の男の子たち。
「な、なにか…」
「真田先輩のお姉さんですか」
「似てる…」
「サナーダのねえちゃん!」
「……後輩?」
「そ」
「あの不真面目だった俊平が真田先輩とかって呼ばれちゃうんだ」
「うるせ」
私が笑いながら言えば、俊平も笑いながら私の背中をべしっと叩く。そんな私たちを轟くん、三島くん、秋葉くんと呼ばれた三人はじーっと見ていて、「よかったら見学していってください!」と誘われた。
「え、いいの?」
「……えー帰れよ」
「ちょっと俊平」
「じゃあちょっと見てこうかな」と俊平のピッチング練習をながめる。昔からあんまり真面目な方じゃなくて上手に手を抜く方だったけど、いつの間にかなんでも全力の今の俊平になっていた。
「あの!お姉さん!あわよくば野球部マネージャーに!!」
「是非お願いします!」
「マネージャーのおにぎりが食いたい…っす!」
「見ていって」と誘われたのはこういうことか。
いきなり私に頭を下げ始める三人にオロオロしていると、急いで練習を終えてきたらしい俊平が「やめろ」と三人を順番に叩いていく。
「俺の姉ちゃん口説くなよ」
「だって女子マネ欲しいじゃないっすかぁー」
「ごめんねーもう受験生だから」
苦笑いで断ると、「くっそー!」と悔しがってる彼らを尻目に、俊平にこっそり言う。
「…かっこいいじゃん」
「え?」
「投げてるとこ、カッコよかった」
「…だろ?」
嬉しそうに笑う俊平の頭をぽんぽんと撫でると「じゃ、帰るねー」と言って家の方へ踵を返した。
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