◇成宮鳴・弟◇ ページ26
*みなつきさんリクエスト*
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「成宮」
「なに?原田くん」
「この前の試合のスコア見せてもらってもいいか?」
「ちょっと待ってよー…」
部活中に、ドリンクを運んで歩いていると、原田くんに声をかけられたのでベンチでおろしてスコアをめくる。
「あった」と言えば原田くんは真剣な顔で私の隣に並んでスコアを覗き込んでいる。相変わらずいつも野球に関しては全力でかっこいい…。
「ねーちゃん!!!」
「鳴…うっ!」
「雅さん!姉ちゃんとの距離が近い!!」
いきなり現れた鳴は勢いよく私に後ろから飛びつくと、原田くんに向かってぐちぐちと文句を言いはじめる。
鳴からは汗と柔軟剤のいい香りがする。
「姉ちゃん、ドリンク」
「はいはい」
家で私以外の2人のお姉ちゃんの中でワガママを言えなかったらしい鳴は、私しかいないときはここぞとばかりに甘えてくる。
「お姉さーん」
「あ、どうしたのカルロス」
「今度のオフの日、デートしません?」
「はぁぁぁ!?何言ってんのカルロス!」
鳴がドリンクを飲んだ紙コップをぽいっと投げ捨てて、私を後ろから抱きしめて私の頭に顎を乗せる。
「だってお姉さん、顔は鳴に似て可愛いし、性格は鳴に似てなくて可愛いから」
「何それ全く嬉しくない」
「あはは、ありがとカルロス、どこ行っん!」
「姉ちゃん」
「どこ行く?」と言いかけた私の口を鳴は後ろから塞ぐ。
「カルロスがオフのときは俺もオフ!つまり姉ちゃんは俺と過ごすんですー!はい残念!カルロス残念!」
「…シスコンも大概にしとかないと彼女できねーぞ、坊ちゃん」
「姉ちゃんがいれば、今は彼女とかいいし!野球もあるし!」
「……私は彼氏とかほしかったなー」
「……」
鳴に見張られてるからか、高3になるこの年まで彼氏という彼氏が出来たことがなかったから、少し憧れはある。
ぽろりとこぼれた私の本音を聞いて、鳴は「えええ!?」と抱きついたまま叫んだ。
「ほらほら」
「そこは『私も鳴がいるから今はいいかな♡』って言ってよ!」
「姉さん困らせんなよ〜」
「酷い…俺はこんなに姉ちゃんが好きなのに…」
落ち込む鳴に弱い私は、ずーんと落ち込んでしゃがみこむ鳴に「ごめんごめん、私も鳴が好きだよ」と頭をポンポン撫でた。
「姉ちゃん!」と飛びつくように抱きつかれて、カルロスくんは呆れたように「やれやれ」とため息を吐いた。
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◇ねーちゃんは俺のもの!◇
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