◆小湊春市・兄◆ ページ19
*眠。さんリクエスト*
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「A、このあと本屋寄っていかない?」
「あ、いいね、行く行く」
塾を終えて、友達と参考書を買いに行こうという話になる。笑顔で頷きながらカバンを持つと、ブブブとバイブ音が鳴った。
「ごめん」と断って、携帯を開けば大量のジャンボからのメールと、一番上には「春兄」と表示されたメール。
「わ、春兄から!」と急いでメールを開けば「家族で外食だから早く帰ってきてって母さんが言ってたよ」とのこと。
「ごめん、今日家族で外食だ」
「あ、お兄さん帰ってきてるんだっけ?いいね、楽しんで!」
「ありがと!」
彼女に手を振ると、家の方向にまっすぐ歩き出す。春兄に「わかった」と返信するとすぐに電話の着信。
「もしもーし」
『A、今塾終わった?』
「うん、春兄いつ帰ってきたの?」
「さっき家に着いたよ」と携帯から優しい声が響いてくる。久々に聞いた春兄の声はやっぱり安心する。
亮兄は厳しい感じのお兄さんだけど、春兄は昔から誰より私に優しくて、世話ばっかり焼かせてしまっていた。
空に出た丸い月をぽやーっと眺めながら「外食ってなにかなー?」と尋ねると「お寿司」と嬉しそうな声が返ってきた。
『にしても…A、いつもこんなに帰り遅いの?』
「今日は早い方」
『………父さんに送り迎えしてもらいなよ』
「油断してると危ないでしょ」と怒った声で言われた。
「大丈夫だよー」と笑っていると、突如後ろからがばっと誰かに抱きつかれた。
「うわぁっ!!…え!?」
「ほら、やっぱり油断してる」
「…は、春兄?」
その正体は携帯を片手に持った春兄で、もう片方の手にはコンビニのビニール袋。そこのコンビニから出てきたところらしい。
「…僕がこっちにいる間は迎えに来るから」
「…ほんと、春兄は過保護だなぁ」
「Aが危なっかしいからでしょ」
「私ももうすぐ高校生だよ?子供じゃないよー?」
「何にも変わってないよ、Aは」
嬉しそうに、からかうように笑うと、私のカバンをとって肩にかけると「おかえり、A」と二人で夜道を歩き始めた。
「…ただいま、春兄」
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◇大好きだから、心配なんです◇
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