◆小湊兄弟・兄◆ ページ16
＊♪のん♪さんリクエスト＊
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ガランガランと鐘を鳴らして、パンパンと手を叩いて願い事をする。
家族五人揃って初詣に行くのが我が家の決まりだ。
家族みんな元気に一年暮らせますように。
兄達と同じ青道高校に入れますように。
兄達が甲子園へ行けますように。
美味しいものいっぱい食べられますように。
かっこいい人と出会えますように。
…それからえーっと。
「…10円でいつまで願ってんの」
「痛い！」
「A、後ろ詰まってるよ」
亮ちゃんに頭をチョップされて半泣きの私に、春ちゃんが苦笑いで私を手招きする。
駆け足でみんなに追いつくと、春ちゃんが「はい」と甘酒を渡してくれた。
「…あったまる…」
「そんなバカみたいに脚出してるから寒いんだろ」
「亮介、やめなさい。Aももうちょっとあったかい格好を…」
ショートパンツからのぞく私の太ももをばしっと叩く亮ちゃんをお父さんが苦笑いで怒る。
「私は一番若いんだから、若い時は脚出してなんぼなの！」と言えば「風邪引いたら元も子もないでしょ？」と春ちゃんがクルクルと自分のマフラーを私に巻いてくれた。
「ありがとう、春ちゃん」
「あったかい？」
「うん！すごく！…亮ちゃんとは大違い…ぶっ！」
「優しいお兄さんに感謝しなよね」
亮ちゃんは私の顔に自分の手袋を投げつけると、おみくじを引きに行ってしまった。その手袋をつけながら春ちゃんと「兄貴は素直じゃないねー」「ほんとほんと」と笑う。
「あ、小湊3兄妹」
「あ、ジャンボ」
いきなり現れた幼馴染のジャンボとその仲間達。
ジャンボはらしくもなく顔を赤らめながら「A、お前、高校俺と同じところだよな」と聞いてきた。
「違う、亮ちゃん達と同じとこ」
「え！？なんで！？」
「春ちゃんいじめてたような人の後輩にはなりませーん」
「それは昔の話だろ！！」
昔の話でも、私の大事な春ちゃんをいじめ、私の大事な亮ちゃんとボロボロになるまで喧嘩していたのは事実。
「じゃあね」と踵を返し、歩き始めると亮ちゃんと春ちゃんが両側に立つ。
「A、せっかくジャンボが誘ってくれたのに…」
「やるじゃんA」
「でしょ」
「ちょっと兄貴！」
「私にとって、一番大事なのは家族だからね、勿論春ちゃんも！」
笑って言うと、「後でジャンボに謝りなよ」と少し顔を赤くして春ちゃんが私の頭を撫でた。
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◇大好きなのはずっと変わらない◇
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