10.報復 ページ10
Aはあの日を忘れたことがない。
女神の祝福を受けた故郷。海の恵みと、穏やかな風に守られた港町は、世界の物流の要だった。しかし、一夜にして煌帝国の大軍が押し寄せ、国境を包囲された。女王は降伏し、軍の大将が面会を求めた。
女王はAの実の母。Aは、自分の母が殺されるのではないかと幼き身ながら感じ、入城してきた大将の目の前へ立ち塞がった。
「将軍閣下、どうか母上様をお許しください!」
大将は背後に屈強な部下達を従えていた。そんな彼らに対して、女王の幼い子Aは澄んだ瞳をそらすことなく訴えた。
民衆に対しても叫び続けた。母上様を許してあげて、母上様を助けてください、と。
その日、その瞬間から、Aの運命は変わった。幾度も交渉が重ねられた末、国民の命と引き換えに、Aは大将の元へ渡ることとなったのだ。そして女王は処刑されることとなった。
Aは悟った。この世界は、どんなに願っても、祈ったとしても、自分の思い通りにならないものだと。
故郷で平和に暮らせれば良いと思った。城から美しい国を見下ろせたら、一生王宮から出られなくても良いと。しかしもう、母と手を繋ぎ、中庭を散歩することすら許されない。この国から去らなければならない。
国民側から見て、王家と煌帝国をどう感じたのか。
女王は歴代類を見ない暴君であった。女王は数多くの男妾を持ち、私生児であるAを産んだ。
子供のAも女王と同じ。些細なことで部下を打ち首にしたり、豪華な宴を好み贅沢三昧だった。
煌帝国はその王族を捕らえ、民は解放された。民は煌帝国の配下になることを望んだ。
男妾などいない。女神の祝福を受けた王族は殺生を好まない。幼いAは宴など知るわけもない。それが真実だ。
すべては実権を握る宰相達の仕業だった。大将はそれを知り、宰相一家を処刑した。女王の処刑は免れたが、離宮の塔に幽閉されたままだった。
それでもAの憎しみは消えない。母に会えず、大将の元へ連行されることには変わりはなかったからだ。さらに宰相の息子とは唯一無二の親友でもあった。すでにその小さな体を取り囲む純白のルフが黒く濁ってしまっていた。
大将の名前は練紅炎。
後に、白徳帝の落胤という出生の秘密を知るAは、煌帝国に下ることにした。
いつか故郷を取り戻し、母を再び女王として君臨させる。そして、自分にしたように、紅炎からすべてを奪う。それが彼の生涯をかけて成し遂げたい夢である。
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Seere(プロフ) - とまとさん» こうして温かいお言葉を頂くと、やはり占ツクに戻ってきてよかったなと感じます!2年も経ってしまうだなんて自分でもびっくりです(*_*)完結するまで長い時間がかかってしまうかもしれません。ですが、ふと思い出した際にぜひ覗きにいらっしゃってください♪ (2018年10月13日 21時) (レス) id: 602f4a06eb (このIDを非表示/違反報告)
Seere(プロフ) - とまとさん» ありがとうございます!もしかしたらお気づきかもしれませんが、実はこの作品「古の魔法~」の設定を少しだけ模したものです。思い入れがある作品なので、とまと様が覚えてくださってとても嬉しい反面、ちょっぴり恥ずかしいですね(^.^) (2018年10月13日 21時) (レス) id: 602f4a06eb (このIDを非表示/違反報告)
とまと(プロフ) - 他の作品ではありますが古の魔法のようにシリーズの時からSeereさんのファンです!占ツクに戻っていただいた時は本当に嬉しかったです!この作品を読みはじめて2年もたつなんて信じられないです…ゆっくりSeereさんのペースで作ってください。応援しています! (2018年10月13日 9時) (レス) id: 8aec95c110 (このIDを非表示/違反報告)
Seere(プロフ) - 流羅さん» とても嬉しい言葉を頂きました(*´-`)文章力はまだまだですが、もっと感動してもらえるような作品にするために頑張ります!応援ありがとうございます! (2016年12月28日 16時) (レス) id: 602f4a06eb (このIDを非表示/違反報告)
流羅(プロフ) - とっても面白いです!Seereさんの創る小説は全部語彙力があって、本当に感動するお話です。これからも頑張って下さい、応援しています…! (2016年12月27日 11時) (レス) id: 417529961c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Seere x他1人 | 作成日時:2016年12月24日 0時