検索窓
今日:10 hit、昨日:1 hit、合計:5,575 hit

1.花葬 ページ1

弓矢が皇子の目の前すれすれを横切る。そしてそのまま城の壁に突き刺さった。
暗殺目的かと辺りを見渡して怪しい影を探す。何も見つからない。

「皇子。お怪我は」
「大事ない」

慌てて駆け寄った武官が矢を引き抜く。矢には小さな白い花が結びつけられていた。その花を見て何を思ったのか、痛々しくも顔に火傷の痕が残っている皇子は、静かに息を吐く。

「あいつに伝えろ。こんなことしているいとまはないはずだと」
「はっ」

新米武官は困惑した。
確かに皇子には怪我はない。何事もなかったのように鍛練が再開される。矢には毒ではなく、可愛らしい花がついていたのも不可思議だ。
そして、"あいつ"とはいったい誰だ。まさか、射た人物を知っているとでも。

「あなたはご存知ないのね」

通りすがりの女官が武官に言う。

「第四皇子の弟君は、頻繁にああしていたずらをなさるのよ」

女官の言い方は、まるで皇子の弟が射た人物だと言っているものだ。怒りが込み上げた武官は眉間を寄せる。

「弟が兄の命を狙っているとでも」
「そうではないみたい。まあ第五皇子はお可哀想だから、少しくらい許してあげてね」


ふわりと風が吹き、白き花びらが踊るように舞い上がった。中庭の手入れをしていた若い女官は、思わず手を止めて息を呑む。
一輪の花を持つ指は細く、うなじは白い。顔立ちは凛々しいが、どこか儚げな少年。
彼の前では、どうやら花すらわき役のようだ。

「この花の世話を」
「あ、その…私が水やりを致しました」
「そう。だからこの花は、そなたのように美しい」

透き通って、澄んだ声。
語尾が訛っていることから、少年は東南の大陸で過ごしたことがあるらしい。
口説かれて照れているのか女官は頬を染めて硬直していると、少年は持っていた一輪の花を、彼女の髪にそっと飾り、風のようにふわりと微笑む。

「私の兄に、差し上げても良いだろうか」

女官はうなずく。すると少年は背に抱えていた弓を取り、軽やかに駆け出した。

2.無垢→


  • 金 運: ★☆☆☆☆
  • 恋愛運: ★★★☆☆
  • 健康運: ★★★★★
  • 全体運: ★★★☆☆

ラッキーアイテム

革ベルト

ラッキーカラー

あずきいろ

ラッキーナンバー

8

ラッキーアルファベット

X

ラッキー方角

西 - この方角に福があるはずです

おみくじ

おみくじ結果は「末凶」でした!


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (14 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
11人がお気に入り
設定タグ:マギ , 煌帝国
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

Seere(プロフ) - とまとさん» こうして温かいお言葉を頂くと、やはり占ツクに戻ってきてよかったなと感じます!2年も経ってしまうだなんて自分でもびっくりです(*_*)完結するまで長い時間がかかってしまうかもしれません。ですが、ふと思い出した際にぜひ覗きにいらっしゃってください♪ (2018年10月13日 21時) (レス) id: 602f4a06eb (このIDを非表示/違反報告)
Seere(プロフ) - とまとさん» ありがとうございます!もしかしたらお気づきかもしれませんが、実はこの作品「古の魔法~」の設定を少しだけ模したものです。思い入れがある作品なので、とまと様が覚えてくださってとても嬉しい反面、ちょっぴり恥ずかしいですね(^.^) (2018年10月13日 21時) (レス) id: 602f4a06eb (このIDを非表示/違反報告)
とまと(プロフ) - 他の作品ではありますが古の魔法のようにシリーズの時からSeereさんのファンです!占ツクに戻っていただいた時は本当に嬉しかったです!この作品を読みはじめて2年もたつなんて信じられないです…ゆっくりSeereさんのペースで作ってください。応援しています! (2018年10月13日 9時) (レス) id: 8aec95c110 (このIDを非表示/違反報告)
Seere(プロフ) - 流羅さん» とても嬉しい言葉を頂きました(*´-`)文章力はまだまだですが、もっと感動してもらえるような作品にするために頑張ります!応援ありがとうございます! (2016年12月28日 16時) (レス) id: 602f4a06eb (このIDを非表示/違反報告)
流羅(プロフ) - とっても面白いです!Seereさんの創る小説は全部語彙力があって、本当に感動するお話です。これからも頑張って下さい、応援しています…! (2016年12月27日 11時) (レス) id: 417529961c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Seere x他1人 | 作成日時:2016年12月24日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。